2020年3月18日
朝目を覚まし朝食を食べに行くとフロントのスタッフに突然止められた
何事かと思うとスタッフが言う「あなたは今日チェックアウトするまで部屋から出てはいけないことになったわ。昨日警察から注意されたの」
「え?でも僕はブラジル出国してからもう2週間経ってるから大丈夫という事でしたよね?」
「それがやっぱり駄目になったの。悪いけど朝食は部屋に運んであげるから部屋に戻ってくれる?」
ええええええ
ここに来て俺も隔離対象ですか 俺もまるでバイ菌扱いですか
というより昨日はあんなに歓迎してくれたのにたった一晩でこの人に何が起きたの?(笑)
昨日の夜にここに来た警察に何を言われたのだろうか?
とにかく僕も今日チェックアウトするまで完全に隔離対象のようだ
部屋に戻ると5分後ぐらいにドアがノックされて開けるとスタッフが朝食を持ってきてくれていた
LINEでジュンペイ君に「俺も今日から隔離対象になったみたい。部屋から出るなと言われた」と伝える
僕とジュンペイ君は今日夕方の空港行きのバスをフロントで予約してもらっている
でもそれすら無事に乗って空港まで行けるのかどうか心配になってくる
不安な午前中を過ごしている時、パラグアイの民宿小林で出会った人たちと作った LINEのグループチャットに南米の様々な国の非常事態宣言による厳戒態勢の情報が入ってきていた
ボリビアに入ってウユニ塩湖に行った旅仲間からは「ウユニ塩湖の鏡張りのツアーがコロナの影響で明日のお昼で全部終わります。明日以降ウユニ塩湖に来ても今後鏡張りは見れません」
チリのサンティアゴに向かった旅仲間からは「なんとかサンティアゴには入れたけどイースター島が封鎖されてイースター島行きの飛行機は今後全てキャンセルだそうです」
アメリカ経由で日本に帰国しようとしている旅仲間からは「アメリカには入ったものの日本に帰国する便がキャンセルになってしまった。この航空会社はもう飛ばないようなので別の日本行きの航空券を買うことになるけどそれもちゃんと飛んでくるかどうかわからない」
とかネガティブな情報がどんどん出てくる
さらに極めつけが3日前にアルゼンチンからチリに抜けた旅仲間からの情報
「今パタゴニアから出ようとしている観光客たちが、医師の診断でコロナにかかってないという診断書がない限り飛行機に乗らせてもらえなくて空港からみんな急いで病院に行ってるみたいですよ」と ビックリさせられる情報が飛び込んできた
さらにブエノスアイレスの空港もいくつもの便がキャンセルになり、 空港で立ち往生して泊まり混んでる人がいっぱいいるらしい
これ、俺達今日の飛行機乗れるのか?と思っていたのにまた部屋がノックされた
ドアを開けると宿の女性スタッフがいた
「今日の飛行機に乗るのよね?飛行機に乗るには医者の診断書が必要になったのでまずあなた達は病院に行かないといけないわ。病院に行くならタクシーを手配するけどどうする?」と言われた
友達と相談したいから廊下に友達を呼び出していいかとスタッフに確認をしてジュンペイ君を呼びに行く
さらに同じく今日の飛行機に乗るブラジル人の女の子も病院で診断を受けないといけないということで僕ら3人と女性スタッフでどうするべきかを廊下で話し合う
どうするべきかといっても診断書がない以上飛行機に乗れないのならもう病院で診断を受けるしかない
空港を飛び出した観光客達が今パタゴニアにあるあちこちの病院に診断を受けに行ってるはず
人数が多いと診断を受ける待ち時間もかなりかかるかもしれないので行くなら早い方がいいような気がする
もうこれは今からでも病院に行くしかないかと思ってたところに続報
みんな空港に行ってから病院に行かないといけないという困った事態になってるので町の病院の医師が逆に空港にやって来て空港で診断を受けれるようになったらしい
これによって僕らが向かう先は空港のみとなった
ブラジル人の女の子が空港まで行くならタクシーをシェアしたいと言ってきたので、予約してたバスをキャンセルしてもらってタクシーを呼んでもらうことにした
宿をチェックアウトして3人でタクシーに乗り込む
やって来たタクシードライバーもマスクをつけて非常に警戒している様子が伺える
なんせこのパタゴニアで欧米人の観光客カップルからコロナが出たのだ
これだけ町が厳戒態勢になり人々が観光客を警戒するのも仕方がないだろう
とりあえず空港に着いたのだけど僕らがやらないといけないのはこの空港の中で診断をしている医者を探すこと
でもそれは意外に早く見つける事が出来た
エルカラファテの空港はそこまで大きな空港ではないし、何より長蛇の列があったのですぐに見つけられたのだ
上の写真の医者の後ろにあるトイレが簡単な診察室に変わっていて医者から問診を受けた後に奥のトイレで熱を測られる
これからパタゴニアを離れる人は全員この列に並び医者の診断を受けないといけない
ほんの数日前までは考えも出来なかった事態になっている
検査室に入っていく人たちを見ている限り大体みんな3分ほどで出てきている
そこまで厳密な診断をしているわけではなさそうだ
この頃はまだ PCR検査なんて言葉自体ネット上でちょっと見る機会しかなかった
どうも僕らが受けるのはそのPCR検査ってやつではなさそうだ
そして僕らの順番が回ってきてまずは僕から問診と検査
医者にパスポートを渡して問診開始
医者から
数日前から熱が出てないか?
おかしな咳は出ていないか?
今現在体にダルさなどの倦怠感はないか?
パタゴニアには何日いたのか?
以上の項目を質問される
特に問題なかったので全て無しと答えると次は奥のトイレに入って看護師の人に熱を測ってもらうように言われる
トイレの中には防護服で完全防備で身を包んだ看護師の女性がおり、その人から脇の下に体温計を挟まれて体温を測定される
ちゃんと体温計を脇に挟んでるかどうかもチェックされるので僕は上半身を脱がされた
1分30秒〜2分ほどしたところで看護師が体温計を取って体温をチェック
問題なかった為に看護師が医者のところにこのツーリストは大丈夫と言いに行ってくれる
看護師からの報告を受けて初めて医者がコロナにはかかってないという僕の診断書を書いてくれる
これが一連の流れ
僕はなんとか無事に診断書をゲット出来た
これがその診断書
次はジュンペイ君の番
3分ほど待ってるとジュンペイ君も検査をクリアして診断書をもらってきた
これで2人とも問題なく飛行機に乗れるぞ
南米の南端パタゴニアともこれでお別れかと思い、なんとなくmaps.meを開いてみる
中米に入ってから本当にこんなところまで来たんだな
長かったようで短かった中米と南米の縦断
思い返すとちょっと感慨深いよな
因みにここからブエノスアイレスに飛ぶ僕とジュンペイ君の飛行機は時間が違う
フライトはジュンペイ君の方が先
ジュンペイ君がチェックインの時間になってチェックインカウンターに並んでる間に僕は空港のWifiでネット作業
しばらくするとジュンペイ君が浮かない顔で戻ってきた
「なんか昨日の夜この航空会社がシステムダウンしてたので昨日ネットで航空券を取った人は全員ダブルブッキングの対象者らしいです・・なので航空券もらえませんでした」
・・・・・・一体いくつトラブルが重なるんだ
もうコロナまじで最悪
で、結局どうなるかと言うと誰が乗れて、誰がオーバーブッキングで乗れないかはっきりするまでロビーで待っといてくれとの事
ジュンペイ君以外に他に日本人が2人いたので、その人達とみんなでこの後どうなるかチェックインカウンターの前でただただ待つ
30〜40分くらい待ったところで航空会社の人が順番に名前を読み上げる
名前を呼ばれた人からもう1度チェックインカウンターで手続きをして航空券を渡されている
日本人の名前はなかなか呼ばれない
これ大丈夫か?と思い始めた時
航空会社のスタッフが「今システムのチェックが終わり全員問題なく乗れそうです。まだチェックインしてない方はチェックインカウンターにすぐ並んでください」とアナウンスされた
終わりかと思ったところから3人とも逆転で搭乗へ
3人とも10分前とは違う満面の笑みで搭乗ゲートに入っていった
無事にみんなブエノスアイレスに着けますように
僕のフライトはみんなよりまだ3時間ほど後
日本人の皆を見送り終わり、一人エルカラファテの空港に残りチェックインの時間までブログの更新をする
そして2時間ほどしたところでようやく僕もカウンターに並んでチェックイン
すでにシステムダウンの件は終わっているので僕は普通に航空券を貰えた
飛行機に乗る前、パタゴニアの山々が夕日に染まっていた
1日の景色がこんなにも美しい場所はなかなかない
こんな場所にいたのになんだかドタバタ劇で終わってしまったパタゴニア
またこんな騒動が落ち着いてゆっくり来れる日が来るといいな
今晩この飛行機に乗れば夜中には首都ブエノスアイレス
そこに着いてからまた次のこと考えないといけない
飛行機に搭乗してからもこの後アルゼンチンのブエノスアイレスに残るべきか、それとも別の国に移動すべきか
ただそれだけを考えていた
コメント
こんにちは、メリさん、昨日のトップニュースを見て、思わずメリさんのことを思い浮かべました。偉大な人を突然失くし、衝撃を受けたと思います。私も実は、マラドーナ氏とは、年齢が近くて、1986年のワールドカップを思い、寂しい気持ちになりました。やんちゃなところもあったけど、人間味のある素晴らしい人で、私は大好きでしたよ。60歳かぁ、早すぎますね。
私は、今日本に居るので、メリさんのこの記事のような目に合うことはないですが、この時のメリさんの気持ちを思うと、とても切なくて、悲しくなりました。
自分の責任の及ばないことで振り回されるのは、理不尽で仕方がないけど、受け入れないわけにいかない、極めて特殊な状況でしたね。
コロナは今後どうなっていくのか、予想がつかなくて、不安で仕方がないですが、日本では、今日、フィギュアスケートの大会が、50%観客を入れて開催するようですが、かたや皇居の一般参賀は中止の発表がありました。今年はともかく、来年もコロナ一色にならないよう、願うばかりです。
それではまた。
シンディ様、コメントありがとうございます!
1986年ワールドカップといえばアルゼンチンが2度目の優勝を飾ったメキシコでの大会ですよね!
マラドーナのあのキャラクターはピッチ内外問わず世界から好かれていたと思います
パタゴニアからの脱出はあと1日遅かったらどうなっていたか分かりませんでした
南米全体がタイミングを合わせたかのような国境封鎖に本当に焦りを感じながらもどこに行くべきか必死に考えたのを覚えてます
もうあれから半年以上が経ったので年が明けてから少しずつでも事態が収束に向かう事を願いながら過ごす日々です