2020年3月19日
まだ夜中の1時過ぎ
エルカラファテから僕を乗せた航空機は無事にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに到着した
僕が到着したのはブエノスアイレスのメイン空港、ホルヘ・ニューベリー空港
ブエノスアイレス近郊にはこのホルヘ・ニューベリー空港を含めたもうひとつの空港がある
それがエセイサ国際空港だ
昨日の夕方僕が見送って先にブエノスアイレスに戻ったジュンペイ君を含む3人の日本人の人達はみんなエセイサ国際空港にいる
また僕もエセイサ国際空港に移動してみんなと合流しよう
エセイサ国際空港の場所はここ
ホルヘ・ニューベリー空港からエセイサ空港までは空港間でバスが走っている
いくつかのバス会社が運営されているが、その中で一番有名なのが「Tienda Leon」というバス会社
到着ゲートを出て空港内にすぐにバス会社が並んでるのでわかるはず
Tienda Leonは夜中でもバスを常に運行しているので夜中の到着でも便利だ
Tienda Leonの窓口で夜中の1時59分発のバスのチケットを購入
値段は580アルゼンチンペソ(約850円)
チケットを買った後、バス乗り場まではバス会社の人が案内してくれた
一応乗り場を案内されなかった人達の為にTienda Leonのバス乗り場はここです
真夜中のブエノスアイレスの街をバスに乗って移動する
ブエノスアイレスでは夜中の移動を危惧する人もいるけどこれなら空港から空港までバスの中なので何の問題もない
30分ほど走って無事にエセイサ国際空港に到着
コロナウイルスの影響で飛行機がどんどん欠便になり、空港内には泊まり込みを余儀なくされているツーリストがたくさんいると聞いていた
到着した空港はまさにその通りの様相を呈していた
みんな空港から自分たちの国への飛行機がキャンセルや欠便になって身動きが取れなくなっている
次の飛ぶ飛行機が発表されるまで行く場所も無駄に泊まるお金もなくてこの空港で1日〜2日ほど過ごしているようだ
自分が望む航空会社のフライトが出てくるまでヘタをしたら長期戦になる人もいるかもしれない
でも僕は速報のニュースでアルゼンチンが3月20日から国内のバスも止めると聞いている
まだ夜中とはいえ現在の日付はすでに3月19日
国内の動きも止まるとなると完全にロックダウンだ
これは今日中にアルゼンチンを離れないとマズイことになりそうだ
空港の出発のフライトの電光掲示板を見に行ってみた
この時点でフライトの約半分がキャンセルになっている
この夜中の時点で半分以上がキャンセルということはこの後時間が経つにつれて欠便は確実に増えるだろう
どうするべきかを早めに決めないと
とりあえず空港のWifiを使ってジュンペイ君に連絡を取る
空港内のどこにいるのかを聞いてみんなと合流した
僕以外の3人は皆どこかしらを経由しての日本への帰国
僕はまだ帰国するつもりはない
ではどこに行くか?
もちろんこのままアルゼンチンに留まってコロナの状況が落ち着くのを待つという手もある
でも僕にはアルゼンチンをはじめとする南米の周辺諸国の国境の封鎖のスピードや厳戒態勢を見てすぐに収束するようなものと思えなかった
このまま南米に残るか南米から出るか この判断を間違ってはいけない
僕は南米を一度離れる事を心に決めた
明日からロックダウンになるアルゼンチンを離れつつも、この時点で現在コロナウイルスに対する警戒や規制が緩いのはどこの国か?
そして少しの間コロナウイルスの状況を見守るためにもなるべく一度の入国で日本人が長く滞在できる国を選ばないといけない
それは何処か?
僕の中ではそれがメキシコだった
去年10月から12月まで約2ヶ月いて大好きになった中米のメキシコ
メキシコはこの時点でまだ何も規制がされてないし、緊急事態宣言も発令されてない
そしてメキシコは日本人は1回の入国で半年も滞在出来る国
ネットで航空券を調べてみるとブラジルのサンパウロ経由でメキシコ
パナマ経由でメキシコの2つが今現在運行しているようだ
ただこの時パナマが既に日本人の入国を禁止していた
パナマ経由の場合はトランジットのみになるが、トランジットだけなら行けるのかトランジットすら無理なのかによって大きく結果が変わってくる
それに対してブラジルはこの時点では日本人はまだ入国も出来てるし、もちろんトランジットも可能
同じトランジットを一度してメキシコに向かうなら断然サンパウロ経由を選ぶべきだ
このサンパウロ経由のメキシコシティ行きのフライトが今晩売りに出てる
正直、今晩のフライトを取ってもキャンセルになる可能性は非常に高い
でもだからといって何もしなかったらこのままアルゼンチンで本当に身動きの取れないロックダウンを迎えることになる
僕は意を決してその場でブラジルのサンパウロ経由、メキシコシティ行きのフライトチケットを取った
僕が取ったフライトは夜の19時20分ブエノスアイレス発、ブラジルサンパウロ行き
サンパウロには夜の22時20分に到着予定
そこからわずか1時間半のトランジットで23時50分に飛ぶ飛行機でメキシコシティに向かう
予定ではメキシコシティに着くのは明日の朝の7時ぐらいだ
アルゼンチンを脱出する航空券を取った以上、あとは自分の飛行機が飛んでくれる事を祈りながら過ごすだけ
ようやく夜が明け朝日の光が空港の外に見えてきた
空港には既にコロナウイルスの注意事項の看板などが設けられている
さすがにこの頃になると空港内にもマスクをつけている人が増え始めた
ジュンペイ君と朝飯代わりに空港内のカフェで軽食を食べる
お昼過ぎには空港内のマクドナルドに入ったが、すでにマクドナルドでは1席ごとに間隔を空けての利用に変わっていた
ジュンペイ君はこの後僕より1時間ほど遅いフライトでドバイ経由で日本に帰る
夕方過ぎまで時間をつぶしてチェックインカウンターに行き、それぞれ航空券をもらうことにした
ただ僕がチェックインカウンターでチェックインをしようとした時にカウンターのスタッフの女性が「メキシコに入るのね?メキシコから出るフライトチケットは持っている?」と聞いて来た
この質問
アルゼンチンを出て先にメキシコに逃げた旅仲間が数人いた
そのうちの一人がメキシコに入るにはメキシコを出る航空券がないと飛行機に乗せてもらえないと言っていたのを思い出した
でも僕は去年キューバから飛行機でメキシコに入った時に、キューバの空港で何も聞かれなかったし何も提示させられなかった
そのため今回もメキシコに入るのにわざわざアウトチケットなんて確認されないだろうと高を括っていた
ところが航空会社のスタッフが「メキシコに行くにはメキシコを出るときの航空券のチケットが必要なの。それがないとあなたを飛行機に乗せれないわ。」と言ってくる
ここに来てまたトラブル発生か
「え?でも僕は去年キューバからメキシコに行ったけどその時何も確認されなかったし、何の問題もなくメキシコに入国出来ましたよ」
「ちょっと上司と相談してくるから待っていて」
そして僕のトラブルでチェックインカウンターの動きを止めてから5分後
ようやく女性が戻ってきて僕に航空券をくれた
どうやらOKが出たようだ
僕はコロナが収束してまた旅の続きが出来るようになるまでメキシコで様子を見ようと思っていたのでメキシコを出る日付なんて決めれない
あの場でアウトチケットを無理やり取らされなかったのは本当に良かった
ジュンペイ君も無事にチェックインして航空券をもらえたので僕らの飛行機は無事に飛んでくれそう
これだけフライトの欠便が多い中まだ運は少し残ってるみたいだ
搭乗ゲートに向かうためにまずはアルゼンチンの出国手続き
出国なのですぐにスタンプをもらえて2人とも無事にアルゼンチンを出国
後は気がかりなのは僕のサンパウロでのトランジットの時間が少し短いことぐらいだ
でも飛行機が遅れない限り1時30分の時間内でのトランジットならなんとかギリギリ上手く乗り継げるはず
僕の搭乗ゲートとジュンペイ君の搭乗ゲートはちょうど隣同士
一緒に搭乗時間になるのをゲート前の席で待つ
僕の方が1時間ほど早いフライトなので当然僕の搭乗の方が早いはずなんだけど、なぜが僕の搭乗ゲートがなかなかボーディングと表示されない
そうこうしてるうちに僕の飛行機のフライト時間になってしまった
それでもまだ搭乗は始まらない
予定通りならもう離陸してる時間のはずだ
さらに僕より1時間あとのジュンペイ君のフライトの搭乗が始まる
これ大丈夫か・・・?
どう考えてもこっちの搭乗が始まらずに僕より1時間後のジュンペイ君のフライトの搭乗が始まってること自体がおかしい
何かトラブルか急な変更でもあったのだろうか?
とにかくジュンペイ君のフライトの搭乗が始まったのでジュンペイ君とはここでお別れ
ジュンペイ君と握手し「またどっかで絶対会おうね」と言って送り出した
僕らは地元が同じ京都
世界一周から帰ったら会おうと思えばまたいつでも会えるだろう
ジュンペイ君ここまで本当にありがとう
無事に日本まで問題なく帰れることを祈ってるよ
さてジュンペイ君を見送った後は自分の問題
ついに搭乗が開始されないまま僕のフライトのステータスはボーディングどころか「ASK AGENT」に変わってしまった
スタッフに問い合わせてくださいって事みたいだが一体ここまで来て何があったらそうなるんだよ
ゲート前のモニターを見に行くとすでにほとんどがキャンセルで真っ赤に変わっていた
僕のフライトナンバー JJ 8002もキャンセルではないが赤に変わっている
非常にマズイ
でも僕はすでにチェックインを済ませて搭乗券をもらって、アルゼンチンを出国し搭乗ゲートの目の前まで来ている
ここで飛行機が欠便になるとかそんなことあるのか?
ここまで来てキャンセルなんてそんなケースがあるのか?
同じ飛行機に乗るツーリスト達もこのあたりからそわそわしてザワつきだす
フライト情報の電光掲示板の下についている航空会社と話せる電話で英語とスペイン語の両方を話せるツーリストが代表で電話をすることになった
もう最後の最後でこれはアルゼンチンに閉じ込められるかも
南米からは当分出れないという事態になるかもしれないなと覚悟を決めてた時、さっき電話したツーリストが「何時かは分からないけどこの後ボーディングが始まるみたいよ」と教えてくれた
とりあえずサンパウロまでは飛んでくれるみたいだ
ただここまでディレイしたらもうサンパウロでのトランジットは時間的に厳しいかもしれない
そしてそれから45分後
ついに搭乗開始
キャンセル一歩手前かと思ってたところから奇跡の搭乗
思ったよりも満員近くになっている 搭乗率は80%ぐらいというところ
近くの欧米人ツーリストはマスクをして手にアルコールのジェルを塗っている
飛行機の中だからみんな過敏になっているな
LCC にもかかわらず機内には弱いけどWifiが飛んでいた
僕らを乗せた飛行機は約1時間遅れでブエノスアイレスの空港から飛び立った
パタゴニアに入ってからは本当にバタバタした毎日だった
まさかこんな形で南米を離れることになるとは
このあと僕はブラジルのサンパウロで無事トランジット出来るのだろうか?
そしてまたこの南米に戻ってくることができるのだろうか?
たくさんの不安を抱え、南米の街の夜景を見ながら機上の人となった