2019年12月6日
今日から僕は一泊二日で火山を見るトレッキングに出発する
僕らが今日登るのはボルカン・デ・アカテナンゴ
アカテナンゴ火山と呼ばれてる場所だ
でも僕らが登るアカテナンゴという山が噴火をしているわけではない
噴火をしてるのはアカテナンゴのすぐ近くのフエゴ山(Volcán de Fuego)という活火山の山だ
噴火をしている山に観光客が登れるはずもないので僕らはその横のアカテナンゴに登りその頂上から噴火してるフエゴ山を見るという形だ
4日間泊まったSelina Antigua(セリナ アンティグア)をチェックアウトして荷物を預かってもらい、一緒にトレッキングに行くトクさんが泊まっているペンション田代という宿に向かう
昨日この街で買ったノースフェイスのトレッキングシューズをはいて準備ばっちりだ
ペンション田代に着くとトクさんがでかいメインのバックパックにトレッキングの準備の道具を詰め込んで待っていた
一泊二日のトレッキングなのにトクさんすごい大荷物で行くんだな
それに比べて僕は小さなバックパックすら持って来ずに斜めがけのメッセンジャーバックというナメた軽装備で来てしまった
ここで誓約書を見ながらもう一度アカテナンゴ火山のトレッキングの大まかな概要をおさらい
僕らが登るアカテナンゴは富士山よりも高い3800メートル級の山
今は火山活動休止しているがそれでもそれなりの高さの山なので2017年には死亡事故なども起きてるような侮れない山だ
トレッキングでは山頂にテントと寝袋が用意されていて、ガイドと朝昼晩の3食付き
トレッキングの申し込みの料金以外に山に入る入山料として当日50ケツァルが必要
靴や防寒着、ヘッドライト、レインコート、水などは持参(手袋と帽子は貸してもらえる)
誓約書には書かれてないけどティッシュやトイレットペーパーは持って行った方がいい
なぜなら山頂にはトイレがない
つまりみんな山の中に入ってその辺でするのだ
もちろん紙なんて用意されてないので自分で持って行かないとお尻を拭けないという羽目になる
これがアカテナンゴの入山料50ケツァル(約700円)を払った証明書
支払った時にこの紙は確認されることがあるから捨てずに持っておいてねと言われた
さらに入山許可の証明のリストバンドを腕につけられる
このリストバンドをつけてる人だけがアカテナンゴへの入山を許される
アンティグアの街で僕とトクさん以外にもう一人ドイツ人の女の子を拾った
彼女の名前はアントニア
僕らの乗ったバンはアカテナンゴ山に向かって南下して行く
アンティグアから走り始めて1時間もかからないぐらいでアカテナンゴ山のふもとに到着した
ここでガイドの家の前で木で作った杖のようなトレッキングポールの貸し出しがされる(有料 安いけど)
トクさんは自分のトレッキングポールを持ってきてるし、僕とドイツ人の女の子はトレッキングポールなしで登ることにしたので誰も借りなかった
ここから約5時間かけて山頂に向かって斜面の多い山を登っていくことになる
ちなみにガイドはほぼスペイン語しか喋らないので英語が通じない
ドイツ人の女の子がグアテマラでスペイン語の留学中だったので彼女に翻訳してもらって英語で説明を聞く
事前にガイドから聞いた説明によるとこの山は最初の2時間が非常にきついとのこと
確かに山の出だしは滑りやすい土の坂道が延々と続いている
これは思ったよりも足首と太ももへの負担がきつそうだ
あまりにも坂道が続くためにガイドが15分に1回ぐらい休憩をとる
平坦な道ならともかくそのぐらいのペースで休憩を入れないとずっと坂道を歩き続けることが出来ない
途中この山の高さを数値で表してる表があった
この山の高さは頂上で3976メートル
僕らのキャンプする場所は3700メートルにあるベースキャンプだ
つまりそのベースキャンプの地点ですでに富士山より高い
今からわずか5時間でその地点まで登るので思っていたよりもきついトレッキングになる予感がした
休憩を繰り返しながらも途中でゼイゼイハアハアになりながら斜面を登って行く
最初の2時間半を過ぎたあたりから坂の傾斜が少し緩やかになって平坦な道も出てくるようになったが相変わらず息はそれなりに切れる
登山道の中盤を過ぎたあたりで一度切り株に座り込んでランチタイム
小さなお弁当のような昼食を渡される
途中からずっと付いて来てた山に住み着いているであろう野良犬も一緒に休憩
毎日のように人が登りに来るので犬達も完全に人間に慣れている
付いて来ていた犬は喉が渇いていたようで僕がペットボトルの水を飲んでると欲しそうにペットボトルを見ながら体をすり寄せて来る
ペットボトルの水を手のひらに入れて飲ましてやるとあっという間に飲み干してしまった
普段から人に可愛がられているようでめちゃくちゃ人懐っこい
休憩後少し歩くともうフエゴ火山の噴火の煙が途中の登山道から見えてきていた
このあたりから少しトクさんが僕らか遅れ始める
登り始めから最後尾をついて来てたんだけど、あの荷物の重さにここに来て疲労も溜まってきたようで極端に遅くなり始めた
この斜面で一気にこの高さを登ると年取ってなくてもまあまあキツいよな
僕もそれなりに疲れてきてはいる
唯一若いドイツ人の女の子アントニアだけは元気だ
結局5時間15分ぐらいで僕らは山頂に到着 トクさんも少し遅れながらもなんとか登頂
上に登るとトレッキングツアーの会社のスタッフが先に2人ほど待っていた
上の写真奥に写っている緑色のテントが僕ら3人が寝るテント
手前の青いブルーシートをかぶせてあるテントはガイドとその助手のテントだ
昨日新しく買ったばかりのノースフェイスのトレッキングシューズが砂埃だらけになっていた
本当はこの靴の先っちょ黒色です 砂埃をきれいにまとって薄茶色になってるね
少し曇ってるけど目の前にはフエゴ山の火山が
時折噴火の音と地響きが伝わってくる
今晩はここであの火山を眺めながら寝るんだな
僕らが登ってきた方角には見事なまでの雲海
そしてその雲海の中から別の火山が頭を出していた
夕方にかけて日が傾きだした頃で雲海が徐々に夕日に照らされ始める
ここからひとまず焚き火をたくために周辺から木の枝を集めて火おこし
続いてガイドが夕食のパスタを作り始める
この頃から急に肌寒くなってきた
明るいうちは溶岩の色がはっきりしなくて噴火の煙だけが見えていた
でも暗くなってきた今は噴火の煙が暗闇に同化してほぼ見えなくなり、逆に溶岩だけがバンバン噴火口から吹き出してくるのが見えるようになってきた
晩御飯を食べる頃には雲海の隙間から下の街の夜景が見え始めていた
火山の山頂で焚き火をし、目の前には雲海と火山と街の夜景
なんだかすごい景色を見ているな今
そして暗闇で目の前の雲海すら見えなくなった頃、眼下の街の夜景はより一層ハッキリとし夕食を食べてる間にも常に向かいのフエゴ山から溶岩が吹き出すのが見えた
フエゴ山から溶岩が吹き出すごとにアントニアが「Look at that. Lava! Lava!」(あれを見て 溶岩よ!)と言って喜ぶ
まさか活火山が噴火しているところこんなに近くで見れる日が来るとはなあ
僕ねこの世界一周の旅でアフリカのエチオピアとコンゴで活火山を見るチャンスが2度あったんですよ
でもエチオピアのダナキル山は火山ガスがすごくて火口に近寄れなくて噴火するところが見れなかった為断念
コンゴの火山も行きたかったんだけど火山までの道のりにマフィアが仕切っている鉱山があってむやみに近づいて消されてる人がいるほど治安がやばいところだったりで結局世界一周中に活火山を見れなかったんですよね
それがようやくこのグアテマラに来てアンティグアからわずか車で1時間の所の山で活火山をこんなにハッキリ見れるなんて
夜ガイドが気を使って僕らにマシュマロを出してくれた
木の枝にマシュマロを刺して焚き火にくべるアントニア
焚き火でマシュマロにうっすら焦げ目が付いたら焼きマシュマロの完成
こういうところで食べる甘いものって格別だ
寒くて疲れてる夜にこの焼きマシュマロは最高だった
この夜、晩御飯を食べ終わってからアントニアと火山を見ながらいろいろ話したりマシュマロを食べたりしている時トクさんの姿が全然見えなかった
後から聞いた話だがトクさんはここまで登ってきた疲れと軽い高山病で体調が悪くなりテントの中で倒れてたそうだ
何も言われなかったから寝てるだけかと思ってたんだけど結構大変なことになってたんだな
トクさん気づけなくてゴメン
僕も高山病まではいかないけどなんとなくこの日の夜食欲がなかった
結局たくさんあったパスタをおかわりしたのはアントニアだけ
欧米人は体強いね
夜フエゴ山の火山活動はどんどん激しさを増していった
時々すごく大きな噴火があってその時は溶岩が天空高く吹き上げる
溶岩が吹き上がったあと山の斜面を溶岩が垂れ流れていくのが肉眼でも見える
ホントすごいよな 火山が iPhone7のカメラでこれだけ撮れるんだもの
ちゃんと溶岩が斜面を垂れていくところまで肉眼でも iPhoneのカメラでもはっきりと捉えられるんだから
アカテナンゴ山の夜の山頂はマイナス気温
もちろんここにはトイレなんてないので男も女も関係なくその辺の草むらで用を足す
アントニアは山頂にトイレがないこともトイレットペーパーがないことも知らなかったので何を持ってきてなかったらしく僕のトイレットペーパーを分けてあげた
自分ももれなくマイナスの寒さの中、眼下にアンティグアではない別の街の夜景を見ながら野グソ(食事中の方すいません)
寒さが身に沁みるのと同時に街の夜景の綺麗さと火山の溶岩の迫力を感じで言葉で言い表すのが難しい何とも言えない気分だ
この日はテントで寝ていても火山が近いため噴火の音と地響きで目を覚ますような環境だった
今夜は綺麗で過酷な夜だ