2021年10月19日
おはようございます
実は今日僕はある儀式を受ける事になっている
その儀式はKAMBO(カンボ)と呼ばれる儀式だ
僕は以前プカルパでアヤワスカの儀式を受けた
それに続いて今日がペルーで2度目のセレモニーとなる
目次
KAMBO(カンボ)とは?
いきなりKAMBO(カンボ)と聞いても聞き慣れない方がほとんどだろう
このKAMBO(カンボ)という儀式に使われるのは毒ガエルの毒だ
体の一部(基本的には二の腕か足首)を火で火傷させて、その火傷の傷口に毒ガエルの毒を塗り、毒の効果で胆汁を吐き出し身体も心もデトックスするというもの
胆汁とは脂肪を消化するために必要な体液で、肝臓で1日に1リットルほど作られている液体
だから誰の体にもある液体だ
胆汁は基本黄色っぽい色をしてる
人や体調によっては少し黄緑色になる事もある
とは言え胆汁の90パーセントは水分なので、吐いても少し黄色っぽい水を吐くような感じです
僕がこの毒ガエルの儀式の話を聞いたのはメキシコにいる時だった
南米を長く旅してた女性バックパッカーと出会って話をした時、その女性がこのKAMBO(カンボ)の儀式を受けた人だったのだ
その話を聞いた瞬間から「ペルーに行く事があったら絶対にやってみよう」と思っていた
毒ガエルというと何やら危ない気もするが実はメキシコにも毒ヘビを使った儀式がある
その儀式を受けた日本人に話を聞いたことがあるが、人が死ぬような強い毒のものは使わないそうだ
当たり前と言ったら当たり前ですね
ただ当然吐いたりはするらしい
僕が今日受けるKAMBO(カンボ)の儀式で使う毒も当然ながら毒ガエルの中では弱い毒のものだ
KAMBO(カンボ)の儀式で使う毒ガエルとは?
KAMBO(カンボ)の儀式では毒ガエルの毒を使うが、その毒ガエルの種類は何だろうか?
答えはPhyllomedusa bicolor(フィロメドゥーサ ビコロル)という毒ガエルだ
日本では「フタイロネコメガエル」と呼ばれている
実は日本でも爬虫類マニアの中ではペットとして輸入されてるらしい
これが「Phyllomedusa bicolor」ことフタイロネコメガエル
背中は緑色で腹面は薄灰色
体側面と腹面には黒い縁取りのある白い斑紋が入ってる
皮膚からはアルカロイド系の刺激性が強い毒物を分泌する
その毒を使ったシャーマンの儀式こそがKAMBO(カンボ)だ
シャーマンを見つけて儀式までコンディション作り
このペルーのヒッピーが集まる町ピサック
僕はピサックに来てからKAMBO(カンボ)を受けた人から情報を聞いて、ずっと儀式を出来るシャーマンを探していたのだ
そしてつい2日前、KAMBO(カンボ)の儀式を出来るシャーマンの連絡先をゲット
シャーマンがWhatsAppを使ってるというのは拍子抜けだがとにかく連絡先を入手した
そのシャーマンはブラジル人
ブラジルからペルーに移り住んでピサックを拠点にシャーマンをしてる
場所とタイミングが合えば儀式をしてくれるようだ
そして昨日の夜そのシャーマンに連絡を取った
心の準備もあるので2〜3日後に儀式をしてもらおうと連絡したところ「早速だが明日の夕方からセレモニーをしよう」と向こうから言われた
突然すぎて驚いたけど、いつかはやろうと思ってた儀式だ
出来ると決まったなら早い方がいい
「OK」とメッセージを送るとシャーマンから「明日16時に町のメルカド前で待ち合わせしよう」と返信が来た
そしてその儀式が今日という訳だ
調度昨日はダイエットで1日プチ断食して、水とコーヒーを一杯飲んだだけだった
なので今日はコンディション的にいい体調で儀式に臨めそうだ
この日もあまり食べない方がいいだろうと思い、朝市みたいな場所でフルーツを買って儀式までこれのみで過ごすことにする
ここはフルーツが本当に安い
スイカ食べたかったけど重いから買うのやめた・・
結局僕はこの日バナナ4本とリンゴ2個、あとフルッタ ペピーノというフルーツを買った
これがフルッタ ペピーノ
日本の梨と桃を足して2で割って、甘みを5分の1くらいに薄めたような味
特別美味くもないけど、悪くもない
そしてある程度空腹の状態で夕方になった
約束より15分ほど前にシャーマンからWhatsAppに「もうメルカドの前にいるよ」と連絡が来た
「10分で行くよ」と返信して急いでメルカドに向かった
シャーマンと合流して儀式を行う場所へ
メルカド前で僕を待っていたのは50代くらいかと思う男性
シャーマンというよりはピサックで見かける年のいったヒッピーみたいな身なりをしていた
彼の名前は「Alderico(アルデリコ)」
ブラジルからやって来たシャーマンだ
合流して挨拶をすませたら早速セレモニーの場所まで歩いて移動
この山に沿ったあぜ道を奥に進んで行く
実はこの道、僕が泊まってるHospedaje Intiというホステルのすぐ裏手の道
だから何度も見たことはある道だ ただここを山の方に入って行くのは初めて
歩きながら話していたんだけど、Alderico(アルデリコ)は基本ポルトガル語を話す
だからもう全然分からない(笑)
スペイン語とポルトガル語は兄弟みたいなもんだと聞いてるので、出来ればスペイン語を話してほしいんだけど
いや、まあスペイン語もまだそんなに理解出来ないんだけどね
でもスペイン語なら何となく言いたいことくらいは分かる
夕方4時過ぎシャーマンと山道を10分ほど歩く
Alderico(アルデリコ)に「どこで儀式を行うの?」っと聞いてみたら「僕の友達の家の敷地だよ」と彼は言った
敷地・・? という事は外なのか?
心配してる僕をよそにその友達の家とやらに着いてしまった
ここが儀式を行う会場か
まぁ古いけど趣があっていいじゃないか
場所さえちゃんとしてたら古い家でも友達の家でも関係ないや
僕「この家の中でセレモニーをするんでしょ?どこから入るの?」
Alderico(アルデリコ)「いや、そこだよ、ホラ」
はい? こ、ここですか
普通に草が生えまくった人の家の前のスペース
小さなマットレスの上にござみたいな布きれ1枚かけただけ
アルデリコさんマジっすか?
吐いたりもするのにこんな場所で儀式を受けるのか
でも綺麗な建物の中でセレモニーを行い変な音楽をスピーカーから流されたりするより、考えてみればこっちの方が本物のシャーマンの儀式っぽい
何よりもう着々とセレモニーまでの準備が整いつつある
予め「水は多めに持って来て」と言われてたので1.5リットルの水と吐いた時に拭けるようにトイレットペーパーを持参して来た
「吐きたい時はどこに吐けばいいの?」っと聞くとアルデリコはすぐそばの地面のくぼみを指差して「そこに吐けば大丈夫だよ。なんて言っても自然に返すだけだからね」っと言った
アルデリコが続けて言う
「吐く時は飛び散ったり服にかからないようにこういうポーズで吐いて」と言って土下座のようなポーズを取った
更に「吐く時は顔が地面に近いから目をつぶって吐いて。そうしないと、もし吐いた胃液が君の目に入ったらすごく痛いよ」とも言った
なるほど 吐くだけでも細かい指示をしてくれるのでその辺はベテランっぽい
更に注意事項を受けた どちらかというとこっちの方が重要みたいだ
「儀式の途中に気持ちが悪くなっても簡単に寝転がらないようね。顔や頭の方に毒が回ると顔がすごく腫れるから。常に顔と頭は心臓より高い位置にあるような体勢を取ってくれ」
ここだけは片言の英語で説明してくれた
多分かなり重要な項目だからこの説明に関しては英語で覚えてるのだろう
他にも細々した事を説明しながらアルデリコがミニバケツくらいの容器に水を汲んで来た
僕の水が足りなくなった時に飲めるように持ってきてくれたのかな?っと思ってたらどうも違うようだ
アルデリコ「これは君を目覚めさせる水だよ。弱い人だと毒でたまに気絶する人もいるからね。気絶したら君のためにこの水を頭からかけるね」
・・・始まる前に気絶とか怖い事言わないでくれよ、もう
ラクビー部の部員が気絶した時に水をかける魔法のヤカンじゃないんだから
KANBO(カンボ)の儀式が始まる前にシャーマンのアルデリコが「僕がカンボをした時の腕の痕を見てみる?」っと言って来た
せっかくなので見せてもらう事に
よく見ると二の腕に小さな丸い火傷の痕がいくつもあるのが分かる
彼自身も今まで数回KANBO(カンボ)を受けたみたいだ
でも人に儀式を施すには自分ももちろん何回も経験してないといけない
彼のもう片方の腕にもカンボの火傷の痕がいくつもあった
これくらいやってる人の方が儀式を受けるこちらとしても安心だ
とにかく一通りの説明も終わり、準備も整った
いよいよこの後KANBO(カンボ)の儀式の始まりだ
いよいよKAMBO(カンボ)のセレモニーがスタート
Alderico(アルデリコ)が自分のバッグから何やら取り出した
それは一見何の変哲もない小さな木の板
でもこの木の板に毒ガエルの毒が結晶化されてくっついているのだ
上の写真で木の板の端っこの方に少し色が違ってみえる部分があるのが分かるだろうか
ここに毒ガエル、つまりフタイロネコメガエルの毒が結晶化してついている
結晶化した毒に少量の水をかけてナイフで削り捏ねながら結晶化した毒を溶かしていく
すると下の写真のように結晶化から液体化した毒になる
この毒を火傷の傷口に塗るのだ
ここからは動画でKAMBO(カンボ)の儀式が始まる様子をご覧ください
左腕を3箇所火傷させて毒ガエルの毒を傷口にのせた
人にもよるが早ければ2〜3分でもう毒が効いてくるらしい
ピークは毒をのせてから最初の15分くらいとの事
傷口に毒を乗せてからわずか3分ほどでなんだか手の指と足が若干痺れてきてる気がした
シャーマンのアルデリコは見てるだけで僕の症状が何となく分かるようで「手が痺れ始めたら、手をグーやパーにして動かすといいよ」と自分の手を動かしてやってみせた
言われた通りに手をグーパーして動かしながらまだ大丈夫と自分に言い聞かす
そしてその1分後くらいには表現しがたい妙な気持ち悪さが体を襲う
顔も若干だがピリピリしてる
唇も痺れてきた
アルデリコが水をこまめに飲むように言う
言われなくても水を飲んでないとやってられない
そして水を意識して多く飲む事によってさらに吐きやすくするのだ
儀式が始まって10分後
かなり気持ち悪い マジで苦しくて吐きそう
でも我慢してはいけない
この儀式は吐いてなんぼのもの
吐いて胆汁を出してこそ意味がある儀式なのだ
シャーマンの世界では胆汁を吐き出す事で体のデトックスはもちろん、溜まってる余計な感情をも吐き出して人間の感情、気持ちもデトックス出来るという定説がある
そのための儀式なのでむしろ吐かないと意味がないのだ
しかし・・・
僕は3箇所の毒盛りで吐けなかった
それを感じ取ったようにシャーマンが「君は毒に耐性があって強いようだね。多分今のままでは吐けないと思うからもう2箇所ほど毒を追加してみるかい?」っと言ってきた
正直迷う
さっきのあの気持ち悪さをまた味わうのか
でも吐かないと意味がない儀式で吐かないまま帰れない
「お願いします。もう2箇所追加してください」
もうなるようになれだ
更に2箇所追加した時の動画はこちら
当たり前だけどこれ熱いんだよね・・
これで計5箇所の毒盛り
まさか初めての儀式でいきなり5箇所も毒を塗り込む事になるとは思わなかった
また気持ち悪い思いをするけどこれで様子を見るしかない
また5分ほどで軽い吐き気をおぼえる
でもなかなか吐くまでに至らない
気持ち悪さだけが募る 体も思考もフラフラする
目の前の自然の風景を見ながら深呼吸し、時折また持参した水を飲む
これを繰り返していたら何だか落ち着いてきてしまった
シャーマンのアルデリコも「3箇所で気絶してしまう人もいるのに君は強すぎる、信じられないよ」とお手上げ状態
気がついたら儀式を始めてからすでに1時間20分が経過していた
アルデリコに「落ち着いてしまったから多分もう吐けないと思う」と伝えて儀式を終える事にした
この後にとんでもない吐き気が襲ってくる事も知らずに
儀式後の締めくくり作業
一旦儀式を終了するにあたって仕上げに「ラペ」をしてもらう事になった
RAPE(ラペ)とは薬草ハーブを粉末状の粉にして、それを鼻から吸い込むもの
ペルーやブラジルでは普通に気分転換や落ち着きたいときなどに使うものだ
RAPE(ラペ)を自分で試した時の記事はこちら
シャーマンのアルデリコが緑の瓶から手の平にラペの粉を出した
通常はこれを吸引具を使い自分で粉を鼻に吸い込む
でも今回は人にやってもらう形になるのでそれ専用の長い吸引具を使いシャーマンに僕の鼻に向かって粉を飛ばしてもらう
僕も自分で何度もやった事あるが、アルデリコは器具に詰める粉の量がかなり多い
まずは片側の鼻の穴にラペの粉を飛ばしてもらう
かなり勢いよく粉を入れられたので強烈に粉が鼻の奥まで届き少し痛いくらい
それをもう片方の鼻にも同じように施す
そしてラペを吸ってちょっと落ち着いたところで「仕上げに目から体を綺麗にするアイドロップ(目薬)をするよ」と言って何とも言えない色の目薬を取り出した
だ、大丈夫かこれ・・ すごい色してるけど
「これはSananga(サナンガ)という自然成分由来の目薬だよ」と教えてくれた
正確にはColirium Sanangaというらしい
そう言えばこれピサックの町のシャーマンショップで売ってたわ
更にアルデリコは「この目薬はかなり滲みるけど、体を浄化してくれるから安心して」と言って僕をマットレスの上に寝かせた
目薬を僕の両目に多めに垂らすシャーマン
次の瞬間、涙が出てくるくらいの軽い痛みとなんともいえないくらい滲みる感覚が両目を襲った
もう涙がボロボロ出てくる
めちゃくちゃ酸っぱい梅干を初めて外国人が食べたら、顔をしかめて目に涙が浮かんできて何度も瞬きするじゃないですか
あれの強烈版って感じ
もう自分で涙止めれません
なんとなくこれは効きそうだ
そして最後の仕上げのSananga(サナンガ)の目薬も終わってシャーマンにお礼を言って帰り仕度を始めたその時だった
儀式終了後に突然の2回の嘔吐
帰り支度をしようと自分の肩掛けバッグに色々仕舞おうと思った時だった
なんか気持ち悪さを感じた 少し吐きそうな感覚もある
え?今更?っと思って気持ち悪かったから近くの地面に口の中の唾を吐き出す
これで落ち着くかなっと思ってたらいきなり強い吐き気が襲ってきた
今思い出しながらこれ書いてても吐きそうになるくらい(笑)
そして我慢できずに地面のくぼみに軽く吐いた
吐いてる時、目を開けっ放しだったので見ていたんだけど、確かに吐いてる水の中に少し黄色っぽい色が見えた
これが胆汁ってやつか
やっと吐けたぞ あーしんどかった
そう思ったのもつかの間、すぐに次の吐き気が襲ってきた
そして2回目の嘔吐
2度目はそれまで小まめに飲んでいた水を全部胃から吐き出す感じ
つまり大量に吐いた
自分でもこんなにゲロの時間が長いなんてと思いながら吐いていたのを憶えてる
ほぼ水とはいえ本当にそれくらいの量を吐いたのだ
シャーマンのアルデリコが安心したように「やっと吐けたね。君は今胆汁とともに要らない感情を吐き出したんだ」っと言った
儀式を始めてから1時間半以上が経過していた
空はもう夕焼けになり始めていた
KAMBO(カンボ)の儀式を体験してみての感想
水でうがいをしてトイレットペーパーで口周りを拭いて立ち上がろうとすると少しばかり足元がフラついた
いきなり5箇所も毒を盛ったんだ
まだ若干毒が効いてるのかもしれない
でも動けない事もない
少ししんどいがゆっくりなら歩ける
吐き終わって少しすると体も気分もすごく落ち着いてきた
まだ儀式の効果が体に出てないかもしれないが、本当にそんなスッキリ感だった
セレモニーの代金は謝礼という形でシャーマンに払う
僕が払ったのは130ソル(約3500円)
これだけ時間も使って、世話してもらって安いほうだと思う
僕はAlderico(アルデリコ)を紹介してくれた人物に予めこの儀式の値段の相場を聞いていた
もちろんシャーマンによって値段はバラバラだ
ビジネスシャーマンもいるのでその辺はボッタクリの値段を取られないよう注意が必要だ
KAMBO(カンボ)の儀式の値段の相場はだいたい100〜200ソルぐらいらしい
でもその教えてくれた人物は「僕はアルデリコから130ソルで儀式を受けたよ」と言っていた
だから僕は事前にアルデリコに連絡した時に130ソルで儀式を受けれるか確認していた
Alderico(アルデリコ)は快くOKしてくれたので130ソルで儀式を受けれたのだ
これは部屋に戻ってから撮った写真だがカンボの儀式の痕が生々しく残っている
時間が経てばシャーマンの腕に残ってた痕のようにほとんど見えなくなるだろう
二の腕に傷痕が残ることが気になる人は足首にやってもらうのもいいかもしれない
でも僕にとってこの傷痕はペルーで紛れもなくKAMBO(カンボ)の儀式を受けた証
名誉の勲章みたいなもんだ
このまま身体に刻んでおきたい傷痕
こうして僕の初めての毒ガエルの儀式、KAMBO(カンボ)が終わった
シャーマンのアルデリコと歩き始めてピサックの町に戻る頃にはもう日が沈み出していた
フラつく足取りの中、この儀式を終えた妙な達成感と安堵感に包まれながら宿に帰った