2018年11月7日
今回はモスタルにあるスナイパータワーの入り方を説明したいと思います
ただここは通常鉄の門で閉められており、気軽に入るべき場所ではありませんので自己責任でお願いします
先日見つけていたモスタルの町にそびえ立つスナイパータワー
モスタルの町の中心や北部ならメインの大通りに出てばどこからでも見える建物
下まで行くと落書きだらけの壁がスナイパータワーを囲んでいるのがわかるはず
スナイパータワーの場所はこちら
そして肝心の入り口ですが・・・
一階から見える入り口の門 ご覧のように鉄の門が侵入者を塞ぐように施錠されている
もちろんここからは入れないので別のポイントから入ることになります
そのまま入り口を通り過ぎ西に向かって(壁が右側にある状態)壁沿いに歩いてください
下の写真のポイントは金網が貼られているのでスルーします
壁の落書きを見ながら壁に沿って先に進みましょう
昼間なら見た目ほど治安の心配はないと思います
ただし上記のとおり夜にここに侵入するのはやめておいた方がいいです
壁沿いに歩くと壁にレンガが積んである場所があります
ここが地元の連中が作ったスナイパータワーへの即席の入り口です
右の壁を見ながら歩くとこのように壁にレンガが積んである場所が見えてきます
ここがスナイパータワーへの侵入ポイントになります
この場所を教えてくれたのはすでに中に入ってたサラエボ出身のZさん
外をウロついてた僕に中から顔を出して「入り口はあっちだ」と教えてくれた僕にとってのスナイパータワーへの案内人
レンガを足場にして壁によじ登ります
上の写真がレンガを足場にまさに壁を乗り越えるところ
写真左上に写ってるのが僕を招き入れてくれたZさん
そしてついにスナイパータワーに侵入
中には薬物に使われたと見られる注射器が落ちていた
東ヨーロッパの人の収入で買える注射器を使う薬物といえば間違いなくヘロインだろう
ここには夜にジャンキー達が溜まってるのかもしれない
やはりここは決して安全な場所ではないと思う 特に夜は厳禁だ
落書きだらけなのはもちろん天井から排気管がぶら下がっていたり、地面には穴が空いてたりするので足元には注意 サンダルなどではなくしっかりスニーカーを履いてきた方がいい
この階段から上に登っていけます
見ての通り向こう側の建物が見えているので壁はありません
それにしても結構アーティスティックなグラフティも多い
スナイパータワーの中ではなく外側に書いてあればもっと多くの人の目につくだろうに
ここは元々はエレベーターがあった場所
上階から穴を覗くと真っ逆さまに落ちそうで恐怖を感じた
早速階段を登って上階へ
先述したとおり階段の向こう側に壁は無いので隣の建物がそのまま見える
逆に向こうからもスナイパータワーの中にいる自分は丸見えです
とりあえず落ちないようにだけ気をつけて上の階へ登ります
中は広々としていて地面には柱が立っていた時の穴が一定の距離で空いている
次の踊り場も見えているので更に上階を目指します
外を見ると自分がいかに高い場所まで登ってるかがよく分かる
高さ的には十分恐怖を感じる高さだ
このグラフティは特に印象に残ってるな
階段を登った途端に目の前にドーンと現れてインパクト大だった
この先はスナイパータワーの先端
ここがスナイパータワーと呼ばれている由縁はこのビルがこのモスタルの町で一番高い建物だった為、ボスニア紛争時にスナイパーがこのビル上階に陣取りここから道ゆく人を狙撃していた事からいつしかそう呼ばれ始めた
タワーから外の景色を眺めると当時の紛争で破壊され廃墟となった建物が見えた
屋根部分が吹き飛んでいて今では植物が建物を覆い始めている
スナイパータワー周辺にはかなりの数の壊れた廃墟がある事から当時このあたりで激しい戦いがあった事がわかる
このタワーの先端からスナイパーが向こうの交差点を行き交う人を狙撃していた
どれだけの命がこの先の交差点で消えたのだろうか
当時この交差点を横切るのは文字通り「命がけ」だった訳だ
日本で平和に暮らしてた僕らにはなんだか壮絶な話すぎて逆にピンとこない
それだけかけ離れている状況だったんだ
最上階から当時人々が撃たれていた交差点を見終わった僕はそのまま一階に戻った
再び一階まで降りてくると大きめのグラフティが多数
一階の入り口の鉄柵から見えていたグラフティの前まで行ってみた
これ絵、あの鉄柵の向こうから中に入って目の前で見たいなぁって思ってたんだよなぁ
素晴らしいグラフティだけどこれを描いた人は次は負の遺産ではなく、表舞台に出て別のキャンバスに思う存分描いて欲しいもんだ
帰り道の事も書いておかないとな
とは言ってもスナイパータワーから出る出口は入ってきた場所と同じ壁
同じポイントから壁を乗り越えて外側のレンガを足場にして外に出ます
ただ中をうろついてるとどこも同じような壁に見えてくるので、中に入った時に侵入ポイントの落書きなど目印になるものを覚えておいて方がいいと思います
僕はZさんと一緒にスナイパータワーから出た
モスタルを代表する負の遺産スナイパータワーを外から見るだけでなく中に入り、スナイパーが実際に狙撃してた場所まで行けて満足はした
が、同時に人間って怖いなぁと改めて思った
紛争が起こって通常の精神状態ではなかったにしろあそこから無差別に人を撃ち殺していたなんてな やっぱり本当に怖いのは人間だ
この建物もいつかは取り壊されるのかもしれない
でもここは個人的にはずっと残して欲しい廃墟
通りすがりの旅行者の勝手な思いだがそう思ってしまう場所も時にはある
早くもこのモスタルでボスニアにはもう一度来たいと思っている
次に来た時もこの町が変わらず同じであればいいと願う