パレスチナのベツレヘムとヘブロンを1日で観光(後編)

2019年1月11日

ベツレヘムでバンクシーなどのウォールアートを見て教会を回った後にベツレヘムのバス停から乗り合いバス(というかバン?)に乗ってヘブロンにやってきました

ヘブロン

僕はこの町は正直あまりチェックしてなかったんだけど一緒に行ったY君が「ベツレヘムに行ったら次はヘブロンでしょう」と1日でベツレヘムと合わせて観光する事を進めてくれた場所

パレスチナにはイスラエルが管理してるエリアとイスラエルが監視をしてるエリアがある

さっきまで僕らがいたベツレヘムは管理されてたエリア

そして僕らが今いるヘブロンはイスラエルに監視されてるエリアだ

僕はベツレヘムに宿を取ってる為、この日のうちにベツレヘムに戻るけどY君はここヘブロンに宿泊する為まずはY君が目をつけていたホステルに向かう

やってきたのはH2 hostel Hebron

ヘブロン

ヘブロン

Y君に付いて行ってちょっと中を見ただけなので部屋の写真とかは無いんだけど、値段も安くヘブロンのバックパッカーズホステルって感じの雰囲気が漂ってました

ほぼ同じタイミングでドイツ人の女性が一人でチェックインしてたので話しかけたら町歩きに一緒に行きたいとの事だったのでここから3人で行動

ヘブロン

バスを降りた時から気づいてはいたんだけどこの日のヘブロンの町はゴーストタウンと化していた

ヘブロン

この日は金曜日だった

だから厳密にはイスラム教徒の多いパレスチナでは安息日になる

日本や世界で一般的な日曜日が休みというのはキリスト教文化から基づいてるものだ

イスラム教の場合はそれが日曜ではなく金曜日にあたる

キリスト教徒が日曜に教会でミサを行うように、イスラム教徒は金曜日にモスクに行ってお祈りをする

ヘブロン

ヘブロン

ただそれにしても人が少なすぎる

この状態だと例え安息日だとしても「ゴーストタウン」という文字が頭をよぎるのは無理もないだろう

ヘブロン

そしてヘブロンの町の細い路地にはイスラエル人が上からゴミや石を投げ捨ててくるので、それに当たって怪我などしないように金網が張ってある

ヘブロン

この日僕が見た上に張り巡らされた金網にゴミや石はほとんど見当たらなかったが、いつまでこんなものを張っておかなければならないのか

この地区の子供らが家や商店の並ぶ路地から空を見上げても最初に見えるのは自分たちを守る金網とその上に溜まったゴミや石だなんて酷すぎる話だ

ヘブロン

途中に少ないながらも出会ったパレスチナ人の人たちは屈託のない人懐っこい人柄

そしてそんなパレスチナ人を見下ろし監視する高台があちこちにあり上からイスラエル兵が監視を続けている

ヘブロン

ヘブロン

ヘブロン

ヘブロン

それにしてもここまで寂しい風景になってるなんて思いもしなかったな

むしろこの人気のなさがショックだった

ヘブロン

ヘブロン

3人でとある路地を歩いていると周辺を案内してくれるという人がいたので付いていってみる事にした

最初お土産屋の中に通されたので「あれ?これって観光地でよくあるこういうパターンのやつ?」って思ったんだけどお土産物を買わすのではなくこの店の中にあるゴマを擦る石臼とか陶器を作る石窯などを見せたかったみたい

ヘブロン

一通りの説明を受けて別の場所に移動

狭い商店街のような通路を奥へと進む

ヘブロン

ここにもずっと投石防止の金網は張ってあり、また高台には例のイスラエル兵の監視台が

ヘブロン

上の写真の右側に座ってこっちを見てるのがイスラエル兵

ヘブロン

子供達はこんな狭い通路でサッカーをしていた

ゴミや瓦礫がそこら中に積まれているこんな場所で彼らは子供時代を過ごしている

ヘブロン

ヘブロン

その後僕らは一軒のお宅にお邪魔させてもらった

ここは案内してくれたこの青年の家だ

ヘブロン

小さな石やゴミは通り抜けてしまうがここにも自家製の網が張られている

ヘブロン

青年の家の屋上に出てみた

ヘブロンの町を見渡せるこの場所から見た景色は一軒平和そうな古い中東の町に見える

しかしすぐにあの監視台が視野に入り、ここは連中の監視下にある町なんだとすぐに思い出させられる

ヘブロン

銃を持ったイスラエル兵が常に目に入る町

こんなところで暮らせと言われて暮らせるだろうか?

慣れていくものなのかもしれないが物凄いストレスと恐怖だろう

パレスチナの子供達は生まれた時からこの状態なのだ

ヘブロン

ヘブロン

この周辺にはパレスチナ人が歩くだけで射殺されてしまうエリアもあり、そうでないエリアでも武器を持ってるパレスチナ人は殺されてしまう

そして何も持ってないパレスチナ人の青年が武器を持ってると勘違いされて殺されるなどの事件も起こってるのだがそういった報道はほとんどされないらしい

ヘブロン

本当にひどい話だ

イスラエル側、パレスチナ側の両面から見ることは大事だけど僕にはこれだけのパレスチナの現状を目の当たりにしながらこの問題をフラットに考える事なんて出来ない

ヘブロン

これからも彼らは、そしてここの子供達はいつ銃弾が飛んできても不思議じゃないエリアでイスラエルの監視のもと生きていくのだろうな

いやここで生きていくしかないのだろう

ヘブロン

案内してくれた青年と一緒に行動したY君&ドイツ人のヨガの先生のカトリーナ

屋上で記念に撮らせてもらいました

ヘブロン

案内してくれた青年にお礼を伝えて彼とはここでお別れ

ここからはまた僕ら3人でヘブロンを町歩き

ヘブロン

ヘブロン

町のちょっと照れ屋な女の子たち

早くあんな壁が取り除かれて銃を持った兵士なんかがここから消える日が来るといいよね

ヘブロン

ヘブロン

そして通路を奥まで歩いた所にゲートが現れた

ヘブロン

実はこのゲート最初は全く通れなかったんだけど一定の人が通り抜けるタイミングで僕らも通してもらえた

最初このゲートの意味がわからなかったんだけどこれって要するにこのゲートを潜る事によって僕らはまた知らないうちにイスラエル側に出ていたのだ

パレスチナの監視エリアを出て今はイスラエル人たちがいる地域にいる

同じイスラエルの中なのにおかしな話だまったく

ヘブロン

ヘブロン

イスラエル側とはいえまだゲートの近くには銃をもったイスラエル兵が目を光らせている

ヘブロン

こっち側もほとんど人がいない

ユダヤ教はたしか金曜の日没から土曜の日没にかけてが安息日だったはず

ヘブロン

金曜とはいえまだ日没でもないのにここまで人がいないものなのか?

それともここがパレスチナ自治区との境目だから人が少ないのだろうか?

少し歩くと目の前に大きなモスクっぽい建物があった

入り口には銃を持った女性のイスラエル兵がいて、入る人のパスポートを確認して無線で何やら確認をしている

ここに入るにはこの女性イスラエル兵のチェックをくぐり抜けないといけないようだ

ヘブロン

僕らもパスポートチェックされて中へ入る事を許可された
この時ここが何なのかよくわからないまま中に入って行った

後から調べてわかったのだがこれ「マクペラの洞穴」(別名アブラハム・モスク)というユダヤ教においてものすごく重要なモスクだった

アブラハム・モスクの「アブラハム」という人物はユダヤ教の預言者
そしてそのユダヤ教の預言者アブラハムのお墓があるのがこのアブラハム・モスクだ

マクペラの洞穴(アブラハム・モスク)の場所はこちら

ヘブロン早速「マクペラの洞穴」(アブラハム・モスク)に入ってみよう

ヘブロン

ヘブロン

これもあとから知ったのだけどなんでもアブラハムの他にも「民族の父母」と呼ばれているサラ、イサク、リベカ、ヤコブ、レアの計6人がこの地に埋葬されているという

ヘブロン
よってここはもはやユダヤ教やキリスト教だけでなくイスラム教徒からも神聖な場所と見なされている

20年以上前になるがアメリカ出身のユダヤ教信者がここで29人にもおよぶイスラム教信者を殺すという「マクペラの洞窟虐殺事件」を起こした事から現在ではユダヤ教信者とイスラム教信者の祈りを捧げる場所は分けられている

ヘブロン

マクペラの洞穴の高い位置にある通路から見たイスラエル側の町

ヘブロン

マクペラの洞穴を出る際にもイスラエル兵によるチェックポイントがあったが彼らは僕らアジア人の観光客に対して全く警戒してなくノーチェックでマクペラの洞穴の外へ

Y君が写真を撮らせてもらっていたから僕も便乗で撮らせてもらったのが上の写真

銃を持って兵士なんかやってるけど見た感じみんなまだすごく若そうだ

イスラエル側のエリアを歩いていると大学生の集まりがあった

ヘブロン

手を降って「おいでよ」みたいな感じだったので行ってみるとすぐに輪に加えてくれた

イスラエル人の大学生の集まり

ヘブロン

ギターを持った女の子がメロディーを奏で、それに皆が何か僕らの知らない歌を歌っている

すぐ横には私服にアラルトライフルを持った若い青年がいる

なんでこんなカジュアルな感じに銃を持ってる奴がその辺にいるんだ・・

でもみんな僕らから見たら異様な光景に全然違和感を感じてないようだ

ヘブロン

イスラエルに徴兵制度があるのは知っている

もしかしてと思って聞きにくかったけど聞きたい質問を彼らの一人にぶつけてみた

「もしかしてみんな兵士なの?」

青年「一年前まではね でも今はもう兵士ではないよ」

ヘブロン

やっぱりそうか

銃が身近にあるのに彼らが普通の顔をしてるのは自分達がすでにそれに携わっていたからだ

イスラエルは女性にも徴兵があるらしい

どういう取り決めかは知らないが全国民ではなくイスラエルに住むユダヤ人とイスラム教のとある一派のみが兵役に就くらしい

ヘブロン

イスラエルの大学生からクッキーが回ってきた

こうやって見ていると彼らも外国の普通の大学生なのになぁ

イスラエル人だけど彼らは僕らにひと時とはいえ優しくしてくれた

だから彼らが銃をもってパレスチナ人を監視してる姿なんて正直想像したくなかった

でも実際にそうしてたんだろうな 彼らはそうしなければいけないのだろう

パレスチナの人の事どう思ってる?

僕が本当は一番聞きたかったこと

でも僕は聞けなかった

この場を凍りつかせるかもしれないセンシティブな話題を出す事が出来なかった

こうなってしまってる現状、問題はシンプルではなく複雑であり、しかしながらそれが当たり前になってしまっている

彼らの若さからしてももう生まれた時からこういう状況だったのだろう

今日一日でパレスチナ人の兵に囲われた生活と銃を持った兵に監視される生活を見てきた

でも今監視する側の若者達のこんな普通の生活風景も見ている

どちらにも納得など出来ずなんだか頭がこんがらがりそうだった

輪に加わりながらそんな事を考えていてふと横のY君を見たら・・

ヘブロン

Y君なんでそんなニコニコしてんだろ・・

た、楽しそうっすね・・(笑)

まぁ彼らも輪に加わって楽しんでね!って感じだったから良かったんだけどね

でも何かこう考えてしまう事とかが(笑)

大学生と別れた後、僕ら3人はY君とカトリーナの宿に戻り、その後僕は2人に見送られ乗り合いのバンでベツレヘムに戻った

ベツレヘム

ベツレヘムはもうすっかり夜で小さなモスクが綺麗な緑色にライトアップされていた

今日はエルサレムからベツレヘム→ヘブロンとパレスチナを見て回り朝から晩まで濃い1日だった

色々考えてしまうことも多いけど今日は早く休まなければ

明日は朝からエルサレムに戻り、更にヨルダンに戻りその日のうちにヨルダンをバスで縦断してヨルダンの一番南の町から船に乗る

そう 僕は明日の夜の船でアフリカ大陸に向かうのだ

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