2023年4月3日
おはようございます
空港泊をしたオークランドの空港からです
今日はついに11ヶ月過ごしたオセアニアを出る日だ
11ヶ月かぁ 長かったよなあ
世界一周でオセアニアにこんなに長く滞在する人って珍しいよな
もちろん僕の旅の資金が尽きそうになってオーストラリアで住みながら働いてた期間があるからなんだけど、去年メキシコからシドニーに飛んだあの日からもうそんなに経ったのかとしみじみ感じる
とりあえず寝袋とマットを片付けなきゃ
いつもより時間をかけ、ゆっくりと丁寧に寝袋を折りたたむ
野宿セットをたたみながらオセアニアと別れる心の整理をつけたかったのかもな
ゆっくりやっても終わるものは終わる
次に韓国に向けてのフライトチケットと入国に必要なK-ETAのPDFファイルをいつでも見せれるように準備した
ええっと、他に何か準備しておかないといけないものは・・・
もうないか・・
帰国が目の前だからか、何かしてないと落ち着かない
気がつけば頭の中で日本に帰る理由よりも、帰らないでいい理由を探してる自分がいる
でも、どうあがいても僕は日本に帰らなくちゃならないようだ
帰国して世界一周を終わらすって事はそういう事だ
とりあえず朝飯でも食べるか
空港内のカフェに行き、パンを1〜2個買うか
相変わらずバカみたいに高い空港内の食事
でもこうして「クソ高けぇ〜」って思いながら食べるのも最後だからパンを2つ注文した
次は飲み物
オークランドの街中でも至る所で見かけたスムージショップの「TANK(タンク)」
無駄に高いから今まで飲んでなかったけど、ニュージーランドなんて次にいつ来れるか分からない
これも最後に飲んでおこう
あ、何注文したかは忘れました
TANKのスムージーが9ドル
パンが2つで21ドル
合計30ドルの朝食
30ドルって・・・
無茶苦茶な値段だなもう
今日の韓国までのフライトは11:55発
ある程度はゆっくり出来る
朝食を食べながらブログをひとつ更新した
韓国では一晩過ごすだけのトランジットだし、多分ブログは書けない
そして日本に帰ったら、日本のSIMカードを契約するまではインターネット環境がなくなる
僕の実家は高齢の親と叔父しかいない
だからインターネットなどの回線も引いてない
つまり海外にいた時と同じように、外でフリーWifiに繋ぐしか僕はネット環境を手に入れられない
だから少しの間ブログ更新が出来ないかもしれない
フライトの2時間前になったところで空港の1階に降りて、自動チェックイン機でチェックイン
荷物はバゲッジドロップに流して無事チェックイン完了
出国ゲートに入ってまずはセキュリティチェックだ
全てを滞り無く終えて、自分が乗る搭乗ゲート前に到着
窓の外には今から僕が乗る機体が準備されていた
椅子に座ってボーディング開始を待ってると当たり前だが周りは韓国人だらけ
ここで同じアジア顔の韓国人に囲まれている時に「あぁ、俺はアジアに帰るんだな」っと実感した
そしていよいよ搭乗開始
韓国までは11時間か12時間くらいのはず
だから着くのは夜だ
でも時差の関係でニュージーランドの方が4時間くらい進んでるから、韓国到着時間は20時か21時くらいになるはず
ニュージーランド航空の機材は何度乗っても良いね
3列シートが左右に配置されてるパターン
僕は窓際
3列シートの真ん中は空いてたので、隣は誰もいない状態
そのおかげで少しだけ快適だ
ほぼ時間通りにテイクオフ
機内食を食べて映画を見たり、寝たりしてるうちに機体はアジア圏内へと入っていった
そして、約11時間後
窓の外に韓国の首都ソウルらしき街の灯りが見え始めた
無事に韓国の仁川空港に到着した
韓国の今夜の気温は13度
夜だからちょい寒いね
今夜もここで空港泊だがまあ空港内の温度なら問題ないだろう
韓国かぁ
なにげに初めて来るんだよな
世界一周に出る前なども、いつも海外旅行に行く時は会社で休みを1週間とか長かったら10日とかまとめて取って行ってた
そうやって、せっかく休みをまとめて海外に遊びに行くなら文化や光景が似ている韓国などではなくてもっと離れた異文化を感じれるような国を選んでた
だから、なんだかんだでお隣の韓国には行ったことがなかったのだ
入国審査に並ぶ前に事前にインターネットで税関申告を行ったかどうかを確認される
なんだそれ
K-ETAは取ったけどネットで税関の申告なんて知らんぞ
係の人が「もしやってなかったら、この QRコードを読み取ってネットで手続きするか直接税関の紙に記入して」と言ってきた
もう面倒いので直接紙に記入した
そして税関の紙の記入が終わったらそのまま入国審査に並ぶ
入国審査はめちゃくちゃ並んでる
なんでこんな人多いんだよ
でも日本人はそこに並ばなくても自動ゲートで入国出来るみたいだ
ただそれだとまたパスポートにスタンプが押されない
どうせ今日はトランジットでここにいるんだから焦る必要はない
僕は入国スタンプが欲しいので、あえて人がたくさん並んでる列の方に並んだ
15分から20分ぐらい並んだところでようやく僕の番
他の人の入国審査を見てたら結構色々質問されてたみたいだけど、日本人の僕にはほぼ質問はなく簡単に終わった
入国の証はスタンプではなく、バーコードのついたシールになっていた
これって確かスリランカに入国した時に貼られたのと同じパターンだ
あ、そうだ
アプリの「been」を更新しておこう
韓国への入国によって、今までに僕が訪れた国は96ケ国
世界の49%を見て周った事になる
でもまだ世界の半分に達していない
どんだけ広いんだよ、世界
正直、まだまだ見てみたいところだらけだ
さて、入国も終わった事だし荷物をピックアップしてあとは税関を抜けるだけだ
僕の荷物も無事に出てきた
ん・・??
なんだあれ? あの黄色いボックスみたいなの
何が付けられているんだ?
なぜか僕のバックパックに黄色い変な器具が取り付けられている
なんだこれ??
僕以外にもチラホラ荷物に同じ器具を付けられてる人がいる
何なんだろうこれ
とりあえず、そのまま荷物をカートに乗せて税関の方へ移動する
すると税関が近づくと例の黄色い器具がピーーー、ピーーー!って音を出し始めた
なんか音で税関のスタッフに知らせてるようだった
税関の入り口に着くと同じような人が数人いて、スタッフから「荷物に黄色い機械が付いてる人はこっちに来てください」っと荷物をチェックする台に案内されている
僕の荷物にも黄色い機械は付いてるので当然そっちに案内された
税関の女性スタッフがいる荷物検査の台に案内されて、女性スタッフが僕のバックパックから黄色い機械を外してくれた
そしてそこで一通りの説明を受ける
どうもベルトコンベアで流れて出て来た僕らのカバンは全て一度 X線を通過しているようだ
そのX線を通過した時に、荷物の中にある一定以上の大きさの鉄の塊などが入っている場合は、それが危険物かどうかを確認するために要注意の荷物という印であの黄色い機械が取り付けされる
そしてあの黄色い機械がついている荷物の人に関しては税関で荷物のチェックがあるということだった
黄色い機械の個別番号は X線を通した時のスキャンの写真と連動していて、女性スタッフが僕の荷物に付いていた機械の個別番号を打ち込むと目の前のモニターに僕のカバンを X線でスキャンした時の写真が出てきた
それを見ながら女性スタッフは「あなたのカバンの中には小さいけど何か丸い鉄の塊みたいなものがあるようだわ。それを危険物かどうか確認させてちょうだい」と言ってきた
小さくて丸い鉄の塊??
そんなのあったっけ?
そう思いながらもう一度モニターのスキャン画像を見た時にピンっと来た
え・・?
もしかしてアレって、、、、
アレか!?
アレアレ言ってるアレとは、
メキシコでもらったマリファナを砕くグラインダー
ハイ、詰んだ
終わったかも
物自体はグラインダーなんだけど、危ないのはあの中身
友達がよく大麻を吸う時にあれを使ってweedを砕いていた
だから多分、グラインダーで砕かれた大麻の小さな葉っぱの欠片や粉末状になった粉が残ってるはず
それを理由に大麻所持とされたらたまったもんじゃない
こ、これはマズイぞ
でもここで慌てふためいちゃイカン
ここは逆に絶対的に堂々としておくのが正解のはず
「荷物を見せてもらうわね」そう言って助っ人に来たもう一人の女性職員と2人がかりで荷物を次々に調べられる
頼むからグラインダーの入ってるポーチを見逃してくれ
そう願うが、しらみつぶしに見られるので時間の問題で絶対に見つかる
で、そのグラインダーが入ってるポーチを開けられた
グラインダーが見つかって取り出される
「X線に映ってたのはこれみたいね。これは何?」っと言いながら女性職員が中を開けた
・・・!!
女性職員の表情が曇る
中に残ってる緑の粉末を見て女性職員はすぐに匂いを嗅いだ
すぐに横の女性職員にハングルで何か言っている
そしてそれを聞いた女性職員が他の税関職員を呼び集め始めた
ヤバイ、事が重大になってきてる
税関のお偉いさんみたいな男性職員が一人現れて、グラインダーを確認し匂いを嗅ぐ
そして僕に「これは何だ?」と聞いてきた
「何かよく分からんけど、メキシコでメキシコ人の友達からもらった物だよ」っと答えた
すると男性職員は「この中に残ってる粉末は何だ?」っと聞いて来た
いや、もうそこまで聞いてるんだから分かってるでしょ
でも、間違いなくややこしい事態になるのでスッとぼけるしかない
僕「友達はインドネシアのガラムって匂いの強いタバコだってって言ってたけど?何か問題でもあった?」
税関職員「これマリファナじゃないか??」
僕「そうなの?そんな訳ないと思うけど、詳しくないから知らない」
税関職員「これちょっと今から検査するから」
僕「今から?飛行機長くて疲れてるから早くしてね」
あくまでも悪いことは一切してない、知りませんの体を貫く
いつも以上に堂々とした態度をとる
その僕の自信満々の態度に向こうも「あれ?」って思ってるっぽくって、もしかしたら本当にタバコなのかもって思い始めてる感じ
小さな検査キットを持って男性職員が戻って来た
僕に検査の内容を説明し始める
その透明な検査キットの中には液体が入っていて、そこにグラインダーの中の粉末を入れて色が変わるかどうかって検査らしい
職員がグラインダーの中の粉や葉っぱのかけらを検査キットに入れる
そして液体と混ぜ合わせて振り始めた
税関職員「これで液体の色が紫色に変わったらこの粉はマリファナって事だよ」
僕「ふ〜〜ん、そうなんだ。まぁでもタバコだったら大丈夫でしょ」
税関職員「そうだよ。タバコなら心配しなくていい。これはマリファナ以外には反応しないからね。それに、、
・・・ってめちゃくちゃ紫になってるじゃないか!
どういう事だこれ!?
お前これを見た上で何か反論はあるか?」
もうね、分かってはいた事だけど、これでもかって位に検査キット紫になってました(笑)
いや、笑い事じゃないんだけど
さぁ困ったぞ
事態はどんどん悪い流れになって、今から麻薬捜査官と空港警察が来るからここで待てと言われる
なんでやねん?って言っても税関職員たちは待ての一点張り
これを機に僕の荷物の中身は全て台の上にひっくり返されて、税関職員4人に改めて総チェックされる
でも、構わない
僕はやましい物は本当に持ってない
全て見てもらっても何も出てこないのは分かってる
一応、韓国にはただのトランジットで訪れただけで、明日の朝の飛行機で日本に帰る事になってるって事も伝えた
でも、向こうは「そうであろうが待て」しか言わない
まぁそりゃそうか
で、そうこうしてるうちに本当に空港に配備されてる麻薬捜査官と空港警察がやってきた
しかもそのうちの1人はめちゃくちゃ偉そうな態度でハングルで僕に何か言ってきた
まあ多分「お前何持ち込んでんだ!?」みたいなことを言ってたんだと思うけど
相手の態度があまりにも横柄だったので、こっちも不快感を思いっきり顔に出してそいつを睨みながら大きな声で「はぁぁ!?」っとでかい声で言ってしまう
あぁ、ダメだ
ここは冷静にならないと
あくまでも堂々としながらも冷静でいないと
麻薬捜査官が改めてグラインダーの中の粉をもう一度検査することになった
その間に空港警察は僕に「なぜこれを韓国に持ち込んだんだ?」と聞いてくる
もらった物だから知らねぇよっと言って、その時のいきさつを説明する
その間に麻薬捜査官が行なった再検査が終わる
再検査の結果はまたも思いっきり反応して紫色
清々しいほどの紫だ
うん、それはもう分かっていたこと
僕なりに色々説明するんだけど、俺の英語が聞き取りにくいのか向こうも困って日本語を話せる空港職員を呼んで来た
日本語を話せる空港職員のオバサンの登場によってだいぶスムーズに話のやりとりが行われる
色々話す中でどうも焦点となってるのは
なぜこれを韓国に持ち込むことになったのか
これの中身を本当に何か知らなかったのか
この2点
さらに、
韓国には何をしに来たのか
韓国にはいつまでいるのか
これは先程税関職員にも伝えた通り、韓国にはトランジットで来ただけで、明日の朝のフライトで日本に帰るだけと航空券のPDFを見せながらもう一度説明
日本語話せる韓国人のオバサンが僕に「ちょっとこちらで相談するからこのまま待ってください」と言った
税関職員と空港警察と麻薬捜査官がずっと話をしている
内心ドキドキしながら10分以上待つ
その結果・・・
このグラインダーは没収するけど、行っていいよ
無罪放免を勝ち取ったこの時の僕の気持ちはただただ安堵だった
もう帰国直前にしょうもないトラブルで捕まるとかゴメンだかなら
焦ったよもう
一応、グラインダーから粉は出て来たけど、大麻そのものは持ってなかった訳だし
そして何よりトランジットで寄っただけで、明日の朝には日本に帰国するだけと証明出来たのも良かったようだ
向こうからしてもグラインダーと少量の粉はあったけど、現物は無かったわけだし、明日の朝には帰る奴を無理くり逮捕しても仕方ないって感じだったのかもね
一応、“この私物は放棄します” っていう内容の書類にサインをさせられる
これでグラインダーを放棄した事になって無事に解放される
全く・・グラインダーひとつで大げさなことになったもんだよ
結局僕が到着ロビーに出れたのは夜の23時半を過ぎていた
とりあえず腹が減った
空港内にまだ空いてる飯屋が一軒だけあったのでそこに入った
ビビンバ定食 12000ウォン
確か韓国ウォンってゼロをひとつ取れば日本円の値段になるんだったよな
じゃあこのビビンバセットは1200円か
食べてみたら普通に美味しい
もっと辛いの期待してたけど
遅くなった晩飯を食べ終わって、トイレで歯磨きを済ませて寝れそうな大きめのベンチを見つけた
今日はここで空港泊
マットをベンチに敷いて、寝袋を取り出した
これまで何度もして来た空港泊
今思えば、世界一周の始まりもシンガポールのチャンギ国際空港で空港泊からのスタートだったなぁ
そして今晩が世界一周最後の空港泊だ
疲れてはいるけどすぐに寝れる気がしなかった
空港のWifiに繋ぎ、メキシコ人の彼女にビデオ電話をした
そして15分ほど話した後、貴重品のサブバックだけ持って空港の外の空気を吸いに出た
夜の24時を過ぎ、すっかり人がいなくなった仁川空港
少し肌寒い空気を吸い込んで息を吐き出した
明日には日本
なんだか自分でもピンと来なかった
未だに自分が帰国することが信じられない
思えば5年前、僕が世界一周に出るために日本を旅立つ前の1週間もこんな気持ちだったな
出発と帰国という大きな違いはあれど、人は慣れ親しんだ生活から次に飛び出す時に少し不安で何とも言えない気持ちになるみたいだ
日本を出発する前は世界一周というものに飛び込むのが不安だったのに、今は5年も世界を旅してこの生活に慣れ、逆に日本に帰るということが不安になっている
不思議なもんだな
外の夜気に寒さを覚え、複雑な気持ちのまま空港内に戻った
寝袋に入って今までの旅を思い出しながら空港の天井を見上げる
この最後の空港泊が終われば、あとはゴールのテープを切るだけ
残っているのは日本へのフライトだけだ