2019年2月8日
早朝に周辺のニワトリの鳴き声に起こされた
野戦病院のような宿に泊まった一夜
昨晩は遠くで野良犬のケンカする声でなかなか寝付けなかったけどいつの間にか眠りについていたようだ
ところどころが虫に噛まれて痒いがどうも南京虫って訳ではなさそうだ
空は白々と色を変えやがて朝日が顔を出し始めた
宿の女性にスーダン最後のスーダンコーヒーを入れてもらう
ガスなんてないから木を燃やしてお湯を沸かせてコーヒーを入れてくれる
生姜の効いたスーダンコーヒーはマジで美味い
スタバとか世界チェーンのカフェって豆だけはアフリカからドンドン持ってくるけどアフリカの人たちのコーヒーの入れ方とかはあまり取り入れないよね
スタバの人たちもそこはあまり知らないのかな?
スーダンコーヒーとかスタバはマジでメニューに取り入れるべきだと思うよ
激ウマなので
宿から出たらガラバッドの町は越境する人たちが行き交っていた
思った以上に歩きで国境を越える人が多い
途中までロバに荷物を運んでもらってる人
エチオピアの通貨に両替してる人
どの小屋に何があるか説明をしてチップをねだる人
いろんな人がそれぞれに動いて朝一から活気にあふれている
不意にある男が話しかけてきてエチオピア側の国境まで案内してくれるという
この案内役はボーダーのスタッフの一部で旅行者やこの国境が初めての人にどういう手順でエチオピアの国境に行くのかを案内する役割を担っている
普段僕は国境で話しかけてくるような連中にはほとんど耳を貸さない
観光客をカモにしようとしてくる連中がほとんどで、そんな奴らと話をしてもロクな事がないからだ
別にそんな奴らの誘い話に乗らなくても自分でどうとでも進む手段など見つけられる
でも僕は事前にネット情報でこの国境には無料で案内してくれる案内人がいる事を知っていたので今回だけはこの男について行く事にした
まずは両替
男に教えてもらったパッと見何の店かわからないような小屋で両替は行われていた
スーダンではそんなにお金を使っていなかったので残ったお金をエチオピアの通貨へ両替すればアジスアベバまで行くくらいのお金は十分あるだろう
そして次にイミグレ直前に向かい側の小屋で何かよくわからない手続きあり
これは教えてもらわなかったらわからない
けどまぁそのままイミグレに行っても「先にあそこで手続きしろ」って教えてもらえるとは思うますけどね
手続きが終わったらイミグレ手前で国境のポリスがスーダンに入ってから外国人手続きをしてるかどうかのチェックあり
パスポートのスーダン外国人登録のシールを確認後、イミグレに通される
ここで僕をここまで案内してきた男が「お金を払ってくれ」と言ってきた
僕が「お前は仕事としてこれをやってるんだ 無料なのは知ってるぞ」と言うと男は取り繕うように「あ、お金っていうかチップを少しくれたらと思って・・・・
僕はもう男がそれを言い終わる前に踵を返してイミグレに入って行った
僕が無料という事を知らなかったら確実に幾らかの料金を取るつもりでいたのは明らかだ
知らなかったら騙し盗ろうとするような奴に時間をさく事はない
イミグレでスーダンの出国手続きを終えて、エチオピア入国審査
こちらはビザがあるのであっさりと終了
なんかアフリカ入ってから今のところ出国の方が時間かかって、入国は早く終わるという手続きが多い
国境を越えたエチオピア側のここはメテマという町
ネットでは治安があまりよくなく宿がボロくて南京虫が出るとかで評判の悪い町
でもスーダン側のガラバッドも宿は凄まじかったけどね(笑)
国境越えてすぐにエチオピアンコーヒーをいただく
スーダンコーヒーには敵わないけどエチオピアンコーヒーもなかなか旨い
コーヒーを飲み終わってゴンダール行きのバスを探すんだけど、どうにも「ゴンダール行きのバスはここには無い」という返事が返ってくる
なんでも少し先の村に行けばゴンダール行きのバスが出てると言う
それを信じて乗車率を完全にオーバーしてる乗り合いのミニバンに体を押し込める
ただでさえギュウギュウ詰めなのに止まるごとにここにまだ人が乗って来ます
もう途中から前のオバチャンとかコブラツイストかけられてるような体勢で乗ってました
いくらなんでも乗せすぎ(笑)
ミニバンは走り出して10分そこそこで小さな町で止まった
どうもここはMagananという地域の端っこらしい
Magananは多分ハルツームの日本大使館で教えてもらった「マンタマ」の事だと察知
ということはやはりここからゴンダール行きのバスが出てるはずだ
どれがゴンダール行きのバスか聞いてまわることにする
しかし、ここの住人から聞いた答えは
「今日はゴンダール行きのバスは無い 多分明日には出るんじゃないか」
という先を急いでる僕にとっては残酷なものだった
僕の下調べによるとゴンダール行きのバスは毎日出てるはずだった
それが今日は出ないって何なんだそれ・・・
しかも明日も多分出るんじゃないかという曖昧さ
ある若者から「バスは無いけど、ミニバンの何台かがゴンダールに行くかもしれない」との情報を聞いたのでミニバンが客を乗せたり下ろしたりしてるところに行ってみることにした
ミニバンを指差してゴンダール?って聞くと一番奥のバンだと教えられた
そこに行くと一台のミニバンの中に20代くらいの欧米人の若者がいた
多分スーダンのハルツーム以来だわ 欧米人見るの
名前はジョシュというらしい
「これゴンダールに行く?」って聞くと、ゴンダール行きだよっと
これでひと安心なんだけど念の為に下調べしてた100ブル(約400円)で行けるかジョシュに値段を確認した
すると「このミニバンは500ブルだよ」とビックリする答えが返って来た
俺「え?ここからゴンダールに行くバス代は100ブルのはずだよ?」
ジョシュ「マジか?運転手500ブルって言ったんだけど」
俺「外国人観光客だからボッタクリされてるよそれ」
ジョシュ「俺このミニバン降りるよ」
ってな訳でジョシュもこのバンを降りたんだけど、そのやりとりを聞いていた運転手とは別の料金回収係の男が必死に止めに来た
片言の英語を話すその料金の回収係の男によれば高いのには理由があるらしい
それはいつものゴンダールまでのメインの道が通れないから山側から大回りして行く為、距離も時間も大幅にかかるからという理由だった
ウーン、どうも嘘くさい
でもエチオピア側に着いた時から他の住民も今日はゴンダール行きのバスはないと言っていた
なんで通常のルートが通れないの?って聞くと「シビルロック、シチズンファイト!」っとよく分からない答えが返ってきた
シビルロックって何だ?っと思ってたら男が左右の指を交差させて「シビルロック、シチズンロック」ともう一度言って来た
どうもこれをそのまま解釈すると「市民が戦っていて市民が道を封鎖してる」というように取れる
どういう事だそれ・・?
とにかくどんな理由があるにせよ500ブルっていつもの5倍の金額など高すぎる
ジョシュはミニバンを降りて僕としばらくこの小さな町で情報を集めることにした
別のミニバン乗り場があったのでそちらにも行ってみた
けれどゴンダール、バス!と言うと皆首をふる
やっぱり今日はまともな手段でゴンダールへ行く乗り物は無いのか
なら例え500ブルでもあのミニバンに乗っておくべきだったんじゃないか・・・
そんな事を考えてるうちに外国人観光客が珍しいのか人が集まってきて写真撮ってくれと言われプチ撮影会が始まってしまった
ここは田舎だからか、みんな純粋な子供って空気が流れている
エジプトではダハブで少しだけ子供と絡んだだけで、スーダンでは全然子供らと関わりがなかったのでアフリカに入ってから子供たちとこれだけ触れ合うのは初めてだ
アフリカもやっぱ田舎がいいなぁ
みんなこのアフリカの大地でたくましく育っていってくれよ
撮影会が終わってジョシュと一緒にさらにゴンダール行きの事を近所の人に聴き込んでると英語堪能なオジサンがなんでゴンダール行きのバスが無いかを説明してくれた
ジョシュはイングランド人なのでようやくここでまともな情報のやり取りをできるようになった
オジサンの話によると今この一帯のエチオピア市民と軍がもめてるらしい
もめてる内容はちょっと僕の英語力じゃ理解できませんでした
もともとこの辺って住民がそれぞれで自分たちの村や町を守ってるエリアで住民も全員ではないが多数の武器、つまり銃を持っている
他国の途上国でもあまり政府の力が届いてない地域でそこに住んでる地元民達が団結して自分たちで武器を持ち統治してるのはたまにあるケースだ
でもそれは世間一般からは「ゲリラ」と呼ばれている
縄張りがあって自分達のエリアによそ者が入ってくると撃ち殺す事も珍しく無い
東南アジアでいえばタイとミャンマーとラオスの国境のゴールデントライアングルなんかもその昔大麻やアヘン(ケシの実)の栽培場所になっていてゲリラが占拠してた事があった
ミャンマーと中国の国境ざかいも以前はアヘンを作る為のケシの実畑だらけの山間部は政府の力が及ばないゲリラ地帯だった
このMagananより先のエリアはまさにそういったゲリラのいる地域
普段は彼らも山で生活する普通の山間民族だが今は軍との争いが熾烈化していて、いつ銃撃戦が繰り広げられてもおかしくない状況でバスが運行を見合わせているらしい
そしてオジサンは僕らに「バスが無いからといって絶対に自分達だけで行こうとするな。それはあまりにもリスキーだからな」と釘をさした
今は普通の車もMagananから少し先のエリアまでしか走らないらしい
それ以上は危険だって事だろう
ただゴンダールに物資を運ぶような車だけは通行してるとの事
僕は首都のアジスアベバからマダガスカルへのフライトを取っててそれは3日後の夕方だ
少しでも早くゴンダールへ行きたい ジョシュも早く進みたがっている
2人の意見は一致して物資を運搬してそうな大きなトラックをヒッチハイクしようという事になった
ここで休みながらヒッチハイクしな!って言ってくれた民家の前に陣取りそこでジョシュと交代でヒッチハイク開始
乗用車はあまり走ってないし、どっちにしろゲリラが道を封鎖してたら乗用車なんて通してもらえる訳もないので大きな荷物や物資を運ぶトラックをターゲットにしてヒッチハイクだ
この家の横でヒッチハイクさせてもらった
ヤギが餌食ってる横で2人で汗ダクでヒッチする
この家の子供達と近所の子供が「外国人が何してるんだろう?」って感じで集まって来た
エチオピアの田舎では旅行者モテます
僕は子供好きでどちらかというと旅先で子供と遊んだりするのが好きだから子供に絡んで来られても苦でもなんでもないけど、ジョシュは苦手なのかあまり子供の相手をしたがらない
子供に囲まれると一応笑顔を作ってみせるけど目が笑ってない(笑)
無理して作り笑いしてるのがわかるので子供の多くを僕が引き受ける
僕がヒッチハイクしてる間だけ何とか耐えてくれジョシュ(笑)
逆にジョシュがヒッチハイクしてる間は僕が全ての子供達の相手
そうこうしてるうちになんとジョシュが一台のトラックを引き当てた
しかも今からゴンダールまで物資を運ぶという
運転手はしょっちゅうこのルートを走ってる人なので道を塞いでる民兵にも顔がきくだろうという事だった
ジョシュでかした!これはいい車を引き当てたぞ
お前らと遊ぶ時間も終わりだ 元気でな
ジョシュと僕のバッグを荷台にあげてくくりつけてもらわないと
このトラックは今からゴンダールに行く
乗せて行ってくれるのはドライバーのオジサンと助手の男性
さらに途中まで軍人が一人ついてきてくれるらしい
通常3人乗れるかどうかのトラックの席に4人横並びでギュウギュウ詰めで乗る
僕とジョシュに関しては狭すぎてもうお互いの片足が重なってる
一緒についてきてくれるらしき軍人がアサルトライフルを持ってやってきた
運転席にはもう乗れないので軍人サンは荷台の荷物の上に座る形で行く事に
ここからは僕ら4人+軍人1人の計5人で進む事になる
ドライバーの助手が無事にたどり着けるように胸元で十字を切って祈る
彼らに運命を委ねてここから危険地帯を山越えだ
ゴンダールへ向かい道中の景色は意外な程のどかなアフリカの田舎の人たちの暮らしがあった
そんな素朴な村にも銃を持ってる人がたまに目につく
途中まで銃を持った軍人が荷台に乗り、僕らがヒッチハイクで止めたトラックを守ってくれてゴンダール市までの道のりの3分の1を通過
軍人はこのポイントで降りるのでここから先は完全にトラックのドライバー&助手と僕とイングランド人のジョシュの4人のみ
軍人が目を光らせていたのでスマホを取り出して撮影する勇気がなかったけど途中で軍が焼き払った村などがいくつかあった
ここはゲリラとの戦いで軍が勝利したようだ
なんかランボーとかの映画の中の世界を見てるようだ
ホントにこんな場所があってこんな所を俺は今移動してるんだな
道中にはその他にも軍のチェックポイントがいくつかあった
またこのずっと先にはゲリラ側のチェックポイントもあるようだ
ただこのドライバーは普段からゴンダールに物資を運ぶのに行き来してるので軍警察はもちろんゲリラ化した民兵にもほぼ顔パス
実際途中、銃を持った民兵隊が30人くらいで道を塞いでてトラックを止められたけど運転手が旅行者を拾った事を伝えてくれて事なきを得る
すぐに写真に収めようとする僕だけどさすがにあれにカメラは向けれなかった
ここは途中にあったゲリラというか市民が張ってる検問所
ここで荷物チェックがあったんだけど今までのどこの空港より念入りに荷物を調べられました
ここには銃を持った女性の民兵もいた
ドライバーが全部説明してくれたので検問自体はそこまでピリピリしたものではなく、荷物検査終了後に記念撮影
検問を張ってた地元の男性達とここまで一緒に来たイングランドの青年ジョシュ(左)
ここを抜けたらあとはゴンダール市までほぼノンストップで行けるとの事
あと少しだ
緊張感ある5時間のドライブの途中人々の暮らしを見ながら走ったけど生活自体は普通の田舎の農家のようだった
たしかミャンマーと中国のゲリラが支配してる国境付近もこんな雰囲気だと聞いた事があるなぁ
どんな小さな村にも必ずアサルトライフルを持った民兵がいて、ほのぼのした生活風景とのギャップが凄かった
トラックはゴンダール市の入り口を入った所で止まった
ここは道が別れていて彼らは市内とは違う方向に進むのでここでお別れだ
ジョシュと相談して一人200ブル(約740円)ずつお礼にドライバーに手渡した
周辺には乗り合いバンが多く止まってるのでゴンダール市の中心に行く車を見つけジョシュと2人で町の中心地へ
ゴンダール市の宿が固まってるエリアの近くの交差点で降ろしてもらう
ところがゴンダールに着いたら行こうと思って目をつけていた有名なミケルホテルとそのすぐそばのL-Shape Hotelの両方が満室
このどちらかに泊まれるだろうと思ってたのでこの2件以外の宿を調べてなかった
そのあと30分ほどジョシュと一緒に歩き回って2人が納得できる値段で泊まれたのがちょっと路地に入った場所にあるYohannes Guest Houseというところ
Yohannes Guest Houseの場所はこちら
Yohannes Guest House
- ロケーション:★★★☆☆
- スタッフ :★★★★☆
- 価格 :★★★☆☆
- 清潔感 :★★★☆☆
- WIFI :★★☆☆☆
※あくまでも個人的な評価です
ゴンダールの町の宿が固まってるエリアから少しだけ路地を入った場所にあります
スタッフ親切 個室あり
シャワーはお湯も出たかもしれないけど僕はもう水シャワーを浴びました
Wifiは弱くて(これエチオピア全体)宿のメインの建物のロビーでのみまともに使える
因みに庭もあるのでテントを持ってたらもっと安い料金で庭にテントも張れます
ジョシュは庭にテント張ってました
デメリットは路地に入った所なので宿周辺が暗いのに加えて野良犬がいます
無事にチェックインして宿の人に今日スーダンとの国境からメインロードを通って来たことを伝えると、
「閉鎖されてるあのコースをどうやって来たんだ?銃撃戦に巻き込まれなかったのか!?」と驚かれた
それほど危ない道をいくつものラッキーな出会いで通り抜けてきたって事か
夕食は宿が無料で出してくれたインジェラでお祝い
これが数々の旅人を苦しめて来たというあの有名なインジェラか
見た目が雑巾で味がゲロらしい
おそるおそる一口食べてみる
なるほど酸味があるから味がゲロなんて言われるけど少しピリ辛のソースにつけると全然食べれる代物だった
宿の人に「インジェラ初めて食べたけど美味しいよ、ありがと!」って言うともっと食べてね!とおかわりのインジェラも出してくれた
イングランド人のジョシュも「There was lot of miracle today!!」とこの日のうちにゴンダールにたどり着けた事にご満悦
僕もそれに「Yes! We made it!!」(俺たちはやったんだ!)と答える
ゲリラが占拠する道のりをヒッチハイクしたトラックで越える
日本で生活してた時からすれば考えられないような事が毎日起こってる
でもこれだから世界一周はやめられない
準備は整った
あとはフライトの待つ首都アジスアベバを目指すのみ!
コメント
とっってもおもしろいブログです!読んでいるだけでもワクワクが伝わる最高の旅ですね!!
匿名様、コメントありがとうございます!
読んで頂きありがとうございます!
世界一周の楽しさが伝われば幸いです