2018年6月27日
今日はバングラディシュ最終日だ

今晩の夜行バスで僕はインドのコルカタに戻る
その前にもう一度ダッカの街を歩いておこう この日はなかなかの快晴だった

思えばこのダッカに来てからというもの外に出て声をかけられない時など一度もなかった
そのくらいこの国では観光客は珍しいのだろう
そしてこの国の人たちはあまり外のことを知らない分どこか純粋だった



これといった観光場所があるかと言えばここには正直あまりない
見ようによってはただの汚いゴチャっとした街だ



線路沿いのスラムはもはや南アジアの定番だ
この国の人は他国の人と比べて多くのものを持っていない
でもやはりこの国の人の優しさとホスピタリティは異常なほどだった

親切すぎて時には正直何か裏があるんじゃないかと疑ってしまうこともあった
それでもこの国の人たちは僕には見返りなしの優しさを投げかけてくれた
お金も物も人より多く持ってない彼らだが人として大事なものは先進国の人間よりしっかり持っていたのだ

スラムのある線路を通り抜けてさらに歩くと今までダッカで見た事がなかった綺麗な湖が現れた

この湖の周りでは珍しく若いカップルがイチャついていて女性もヒブジャを脱いで髪の毛を出してこの湖を見つめていた

ここでも色んな人に声をかけられて一緒に写真を撮ろうと言われる

湖を見ていたら後ろから肩をたたいてきた人がいた
何だろ?と思って振り向くとそこにはバングラディッシュに入国する時に前に並んでいたバングラ人の男性だった
Facebookを交換していたのでメッセンジャーで今日バングラディッシュを出る前にこの湖まで散歩に来るかもしれないと伝えていたんだけど、彼はわざわざこの湖まで僕を探しに来てくれたようだ

彼は親切に湖周辺を一緒に歩き、湖ほとりのカフェで気を使って「ゲストだから」と言ってドリンクをご馳走してくれた

そして日が暮れるまで話し、彼の案内で人でごった返したローカルバスに乗って僕が乗る夜行バスの会社の事務所まで見送ってくれた

国境でたまたま一度出会っただけでこれだ
このお節介なぐらいの優しさとホスピタリティが彼らの、そしてこの国の魅力
バングラディッシュの財産は間違いなく人なんだと思う

間違いなくこの国は今まで見て来た中で一番汚いし、貧しいし観光場所も少ない
それでもいいではないか
だってここは観光ではなく人を見にくるべき国なのだから
そんな国が世界にひとつくらいあってもいいじゃないか





