2019年7月24日
午前中からテントの中の以上な暑さで目を覚ました
ここはリヒテンシュタイン公国の山の中のキャンプ場
テントの中にいると脱水症状を起こしそうで狂った暑さの中外に飛び出した
この年の夏のヨーロッパは例年にない暑さだったらしい
もうスペインにいる頃から暑くて仕方なかった
今日はドイツから南下してくる旅仲間がこのキャンプ場に合流する
「せっかくのキャンプ場なのでバーベキューでもしましょう 肉買って行きます!」と嬉しい連絡をもらったので僕もバーベキューに備えて少し何か買い出しにいかないと
バス停に向かうためにキャンプ場の出入り口に向かうとロバで旅してるお爺さんがチェックアウトするところだった
ホントすごいよなぁ 尊敬してしまうわマジで
いくつになってもこんな冒険出来てるなんて素敵な人生だと思うな
キャンプ場からバス停まで伸びるまっすぐな道をタンクトップで一人歩く
暑いけどこうして山の中で日光を浴びて過ごしてるのが気持ちいいなぁ
汗をかいてしまうけどなんだか心地よい
昨日来た時と同じバスに乗ってリヒテンシュタインの首都のファドゥーツに着いた
旅仲間が到着するのは夕方の4時だ
それまで時間はあるので今日はこの街のシンボルにもなってるファドゥーツ大聖堂を見に行こう
これがそのファドゥーツ大聖堂だ 別名「聖フローリン大聖堂」ともいう
下から見上げるとかっこいいね
ファドゥーツ大聖堂はネオゴシック建築の教会
教区教会として設立し1997年に大聖堂となった
座席に座ると目の前に聖書が置いてあるように配置されてる
他のヨーロッパ諸国の大げさな教会のようなものではなく、嫌味じゃない程度の綺麗できめ細やかなステンドグラスに目を惹かれる
僕は教会に金をかけまくってるのはあまり好きじゃない
お祈りする場所なんだからミサが行えて祈りを捧げられたらそれでいいはずだよな
さぁスーパーで買い物だ
ある程度の肉は買って来てくれるみたいなので僕は少しだけ追加する程度に2人で食べれる物を買っておこう
2個入りの生ハンバーグと果物と飲み物を買ってキャンプ場に帰った
そして夕方の16時過ぎにキャンプ場の出入り口で待っているとそこに約1年ぶりにバイクに跨った懐かしい顔の男がやって来た
出迎えたキャンプ場の入り口でガッチリと握手してようやく再会を果たした
僕のテントの隣にバイクを置き、テントを張って準備は整った
彼の名前は合田サン アフリカツインというバイクで世界一周してる旅人
去年の8月 あれはキルギスのビシュケクだった
ビシュケクにあるサクラゲストハウスという日本人宿で僕らは出会った
合田サンはその時ロシアを走り抜けてキルギスにやって来たばかりだった
そしてビシュケクで僕らと同じようにイランのビザを申請し、そのビザが降りるのを待ってる最中に少しビシュケクの郊外までバイクで走りに出かけた時のことだった
サクラゲストハウスの中で漫画を読んでいた僕のスマホが鳴った
スマホを見てみると Facebookを交換した合田さんからメッセンジャーで電話が来ていた
つい1時間ほど前に出て行ったばっかりなのにどうしたんだろうと思って僕はその電話を取った
そこで合田サンから驚く報告を受けた
なんと合田サンは後ろを全く確認せずに U ターンした車を避けきれず衝突して転倒してしまったらしいのだ
そしてその事故で左の鎖骨が折れてしまってるらしい
U ターンした車を運転していたのはキルギス人の年配のおじさん
警察も呼んだのだけどなんせキルギスっていうところはほとんど英語が通じないところだ
現地のキルギス語かロシア語が話せないと話が進展しない
そこでサクラゲストハウスのオーナーの奥さんが日本語も話せるキルギス人なので、奥さんに通訳をしてもらいながら電話で話を進展させたいので電話を代わってもらいたいということだった
その後、合田サンは左肩の鎖骨の手術を受けるために2日後に帰国した
バイクは事故の証拠でもあるのでキルギスの警察に預けたままキルギスを離れた
きっと気が気じゃなかったと思う
そして日本で手術をして鎖骨をボルトで固定してリハビリをし、怪我が少し癒えて落ち着いたところで再びキルギスに飛び事故を起こした相手とバイクを直してもらう修理代やこの交渉のためにキルギスまでまた飛んできた経費などを請求する話し合いをした
実被害だけで言うと本来もう何十万では収まらないような金額のはずだ
でも相手は一般のキルギス人だしそこまで裕福ではないだろう
全てを保障してもらうのは正直難しかった
相手のおじさんは深く反省しており、親戚中から集められるだけのお金を集めてなんとかバイクの修理代の一部と今回の渡航費を工面したらしい
そこで相手の誠意も伝わってきたので、全てを払いきれないのは分かっているのでそこで手打ちにした
外国で事故などに巻き込まれた場合、相手に一方的に過失があったと認められたとしてもその国の経済レベルによっては全てを保証してもらえない事っていうのは多々あるんだなと僕もいろいろ考えさせられた事故だった
そしてその事故から約10ヶ月
今年の5月に彼はもう一度バイクでの世界一周を開始した
それを聞いた時は本当に嬉しかった
しかも開始地点は去年事故を起こしたあのキルギスのビシュケク
彼の中で10ヶ月止まっていた時間が今年の5月再び動き出したというわけだ
そして旅を再開して約3ヶ月
彼は中央アジアを抜けヨーロッパに入り北欧から南下してきてこうして今僕と再会した
お互いあれから色々あったよな
色々話したいし、色々ここまでの旅を聞きたい
積もる話もあるので一旦二人とも水着に着替え、あの青々とした景色のいいプールに飛び込んだ
ただのプールのはずなのに太陽の光を受けてなんて綺麗な青になってるんだろうか
今日も暑いからプールに人が多い
プールに浸かりながらこれまでのお互いの旅のことを話した
そうして夜の7時過ぎ ようやく涼しくなりだした頃にテントの前でバーベキューの準備をした
即席でバーベキューができる炭の入った簡易コンロも買ってきてくれたのであっという間に準備は整った
合田さんのバイク、アフリカツインの両サイドに付いている荷物を入れる大きな鉄の箱を椅子代わりにしてバーベキューの開始だ
まずはコーヒーで乾杯
左上のハンバーグが僕がさっきスーパーで買ってきたもの
それ以外は基本合田サンが途中で買ってきてくれた
あ、ちゃんと割り勘しましたよ(笑)
簡易コンロに火をつけて炭に火が十分伝わったら肉を焼き始める
マクドナルドやバーガーキングに行った時、小さな紙袋に入った塩コショウがたくさん置いてあるのでそれを合田サンが持ってきてくれていた
味付けは塩コショウのみ でもこれがまた美味い
塩の効いた肉が美味すぎる
いやぁ外でバーバキューなんてしたのいつぶりだろう?
ビシュケクのサクラゲストハウスでもその時泊まっていたみんなで庭でバーベキューしたんだけどもしかしたらそれ以来じゃないかな
僕にとっては合田サンと再会するのもこうやって外でバーベキューするのも1年ぶりだ
夜の21時を回ったところでようやくキャンプ場周辺が暗くなってきた
僕は明日リヒテンシュタインを離れてドイツに向かう
合田サンはこのままもう一泊ここにキャンプする
本当はせっかく再会したのでもう一泊して合田サンとリヒテンシュタインでゆっくりしたい
でもドイツでもドイツ人の友人を待たせている
それに合わせてここから先は立ち寄る街には1日ずつしか居れない
明日はこのリヒテンシュタインから全てローカルの乗り物を乗り継いでドイツの南部に移動しなければならない
また明日から忙しくなるぞ
合田サン、1日だけだったけど会えて良かったです
これから先も安全に楽しいバイク旅を続けてください!
そしてまた日本か世界のどこかでお会いしましょう
ありがとうございました!