2018年11月8日
2日過ごした美しくも紛争の跡が色濃く残るモスタルの町を出てボスニアヘルツェゴビナの首都サラエボへ向かう


窓の外には今までの移動中の景色でも有数の美しい風景が流れていた
緑に染まるネレトバ川に切り立った岩山 この綺麗な景色が道中続くので移動も苦ではない


やってきた首都サラエボの町はトラム(路面電車)が走っていてなんか都会過ぎない雰囲気

かと思ったら、こんないびつなデザインのビルが立ち並んでいたりとなんだか雰囲気がまだ掴めぬまま街の中心部へ

ハロウィン? もうとっくに終わったよ?(笑)
路地の隙間から向こうに大きな教会が見えた


ここはKatedrala Srca Isusova
別名「イエスの聖心大聖堂」と呼ばれてる街の中心部の教会だ
ちょうどこの教会に差し掛かった時にちょっと気になるギャラリーの看板を見かけたんだけどそこにはまた明日行くことにしよう

イエスの聖心大聖堂から離れサラエボの街を歩いてると足元にふと気になる物があった

聞いたことがある これはサラエボローズだ
紛争当時に砲弾による死者を出した爆発の跡だ
その悲しい事件を忘れぬよう、後世に残すため後に赤い樹脂で埋めたもの
その樹脂がまるで飛び散ったバラの花びらの様に見えることから「サラエボの薔薇」、「サラエボローズ」などと呼ばれている

これも赤い樹脂が剥がれてしまっていて落ち葉に隠れているけどサラエボローズ

このようにサラエボの街には見えにくいものからハッキリと見えるものまで至る所でサラエボローズを見ることが出来てしまう

この薔薇はもう決して咲かせてはいけない薔薇だ
そして決して枯れることなくこれからも人々の記憶の中に残り続ける薔薇

これはエターナルファイア
鎮魂の意を込めて途切れることなく燃やし続ける永遠の炎

このようにサラエボには紛争を忘れないために色々な形で人が当時を追憶するものが残してある
更に街の中心から少し北に紛争で亡くなった人たちが眠っている墓地があると聞いたので行ってみることにした


秋の紅葉に染まる公園を横目に坂を上がって行くとおびただしい数の墓標が目に入った


オリンピック競技場のすぐ南側にこんな巨大な墓地が広がっているなんて
下の写真の右奥に見えているのは競技場の客席


それにしてもなんて数なんだ・・
ユーゴスラビア解体の動きの中で起こった民族間の紛争により約20万人もの死者を出したと言われるボスニア紛争

死者が出るだけでなくボスニア人女性へのレイプや強制出産まで行われたという
ボスニアは最初クロアチアと共にセルビア人と戦った
しかし、しだいに情勢が変わり今度はボスニアとクロアチア間でも紛争が起きてしまう
セルビアとも戦いクロアチアとも戦わなければならなかったボスニア

このボスニアヘルツェゴビナの被害が一番大きかったのは当然の帰結
紛争で亡くなった彼らは何を思い日々を生き抜いていたのか
平和を願ったのか、それとも犠牲を払ってでも自身の民族の勝利を願ったのか
そして残された人々は今何を思うのだろう

大量の白い墓石を背に僕は一度サラエボの街へ戻った
まだサラエボの中心地をしっかり歩いてなかったので一度宿にチェックインする事にした
僕が今回泊まったのは比較的サラエボの街の中心でリーズナブルなResidence Rooms/Hostel Residenceという宿
パっと見普通の雑居ビルに見えるので地図を見ながら探した方がいいです

Residence Rooms/Hostel Residence の場所はここ

入り口は4ケタの数字を押して開けるタイプ
初めて行った場合はカメラと数字キーの間にある呼び鈴のボタンを押しましょう
扉をあけてもらうと螺旋階段を上がってレセプションに行きます

Residence Rooms/Hostel Residence
- ロケーション:★★★★☆
- スタッフ :★★★★☆
- 価格 :★★★☆☆
- 清潔感 :★★★☆☆
- WIFI :★★★☆☆
※あくまでも個人的な評価です
宿のオーナーのおじさんが優しくて色々教えてくれます
キッチンはレセプションの階にのみあり、客室のある上の階には無い
Wifiは普通に使えるレベルではある(ドミの部屋の中は弱めで廊下に出るとそこそこ使える)
徒歩圏内にボスニア紛争にまつわるギャラリー、レストランやカフェなどあり便利

宿から東側にセビリという市民の憩いの場になってる水汲み場があるらしいので行ってみよう
途中でアイスを食べる 1兌換マルク(約60円)

ボスニアの通貨は兌換マルク(だかんマルク)といいます
最初読めなかった(汗)

セビリに向かって歩いているとちょっと面白そうなカフェを見つけた

ANDARというお店

店内はもともと靴屋だったの?って作りになっている

Caffe Bar “ANDAR”の場所はこちら

この靴の形のメニュー表がオシャレ
ボスニアンコーヒーが2.5兌換マルク(約150円)



注文して出て来たボスニアンコーヒーがこちら

もともとオスマン帝国から伝わったらしく、やはり少しトルコのトルキッシュコーヒーに似てるかな?


違いはフィルジャンと呼ばれる取っ手のない小さな湯飲みの様なカップで飲むところだろうか
割としっかりした苦味があり個人的にはトルコのコーヒーよりも好きです

ユニークなカフェ、Caffe Bar “ANDAR”に満足してまたセビリに向かって歩き出す

セビリに到着すると観光客に入り混じってボスニアン達が子供や恋人達と夕暮れ時を過ごしていた

この風景を見ていると23年前まで紛争が起きていた国になんてとても見えない
この街の30代以上の人たちは皆、紛争経験者だなんて思えないほど平和な風景だ


ハトに餌をやる子供達を見ながら少し小腹が空いたのでセビリのある広場で食事


少しヘルシーな物が食べたかったので「KUMPIR」というジャガイモに野菜とオリーブがふんだんに載せてある料理を食べてみる事に

で、これが大当たり オリーブ好きで野菜不足だった僕にはたまらなく美味しかった
次の日にも食べに行ったんだけど次の日はなんと売り切れ

結局この日しかこのKUMPIRという食べ物にはありつけなかった
もう一度食べたかったな

それにしてもボスニアヘルツェゴビナいい国だ
これだけ黒歴史と今の平和な暮らしが表裏一体になってる国も珍しい
そしてあれだけの紛争があったにも関わらずこの国の人の心がすさんでないところがまた素晴らしい ボスニア人は皆一様に親切で懐が深いのだ

まだまだ興味の尽きない素晴らしい国ボスニア
明日は例の教会の気になるギャラリーに足を運んでみよう





