2019年9月28日
緊急用のベッドではなく完全な二段ベッドのレギュラーベッドをもらっていた僕のホームレス更生施設での生活も今日が最後
今晩のフライトで僕はキューバに行く
本来ならメガバスでアメリカ行きをねっていたんだがアメリカの観光ビザをに取るのに途方もない時間がかかるため、アメリカ行きを断念してキューバに向かうことにした
ここで食べる朝食も最後か
このホームレスシェルターで生活した2週間
何を思ったのか突然暴れ出すやつだったり、施設の外で空を飛んでる鳥に向かって大声で罵声浴びせ始めるやつだったり、施設のボス気取りのやつだったり、見た目怖いけどめちゃくちゃ優しい奴だったり
いろんな奴がいたけど僕にとっては本当に深い良い経験が出来たと思っている
誰とも話してないのにテーブルに座ってるだけで一人でクスクス笑い出して笑いが止まらなくなるちょっとおかしな連中ともこれでお別れか
こんなおかしな奴らがたくさん居たけど基本的にカナダ人はみな優しかったな
ぶっきらぼうだけど優しい
昔の日本の硬派な男みたいな連中が多かった
本当にスタッフ達もよくしてくれる施設で助けてもらった
みんなはこんなアジア人の事すぐに忘れるだろうけど俺は勝手にずっと忘れずにいるね
入れられた時あんなに絶望だったのに何で出る時こんな寂しいんだよ
施設のスタッフ達に今日でここを出る事、そして別れを告げた
キューバからはすぐ戻ってくるのかい?すぐに戻るならベッドを取っておこうか?
この場に来てまた優しい言葉を投げかけられて今日カナダを出るという事が寂しくて悲しくてどうしようもなくなる
さぁ今日の最後の食事だ
この夕食が僕がここで食べる最後の食事
本当に毎日ありがたかったなぁ
食事もそうだけど何よりみんなの優しさが温かかったよ
本当にありがとう 一生忘れないよ
空港に行くためバックパックを担いで大都会トロントの街を歩く
トロントに初めてやって来た日と同じくこの大都会をこんなでっかいバックパック背負って歩いてるのは僕一人だ
あの時と同じ 何も変わらない
でも僕の心には間違いなく一つの変化があった
こんな観光地も少ない無機質に見えた大都会トロント
でも僕はいつのまにかこの街とこの街の人を好きになっていた
不思議だな
別に歴史だった街並みでもない
観光資源が多いわけでもない
独特の異国情緒が漂っているわけでもない
ただの白人社会の大都会の街だ
なのに何だろう この胸の中にある「ここを離れたくない」という気持ちは
カナダってツンデレだわ
最初冷たく感じさせてそこからだんだん時間をかけて優しくされて
今はカナダを離れたくない
こんな好きにさせ方ありかよ
空港に向かう途中でこんなセンチな気持ちになることなんてそうそうないのに
ズルいよカナダ
僕はこのツンデレ効果にまんまとやられてしまった
まだカナダを出たわけでもないのにカナダが恋しくてしょうがない
空港からトロントに着いた時と同じくユニオン駅からUP Express(Union Pearson Express)に乗ってピアソン空港へと向かう
たどり着いた空港はいつものように多くの人が到着と旅立ちを繰り返していた
僕が今回乗るエアラインのエアカナダは自動チェックイン
預け荷物をベルトコンベアにのせる以外は全て機械ですませる
機械から出てきた航空券を持ちいつものようにセキュリティーチェックを受けて出国審査に向かおうと思ったらそのまま搭乗ゲートまで到着してしまった
最近出国審査がない国が増えてきてるって言うのは聞いてたけどどうやらカナダもそのひとつのようだ
空港で最後のティムホートン
空港のターミナルの外の航空機を見ながらカナダ最後の味を噛み締めた
ここまで来てようやくカナダとの別れも現実味を帯びて来た
もうすぐフライト
でも正直行きたくない